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「税制改正」相続ビジネス活況 孫への教育資金非課税などで新商品
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相続、贈与が身近な問題になり、多くのシニアが金融機関の税制改正セミナーに集まる=3月、大阪市中央区の三井住友信託銀行大阪本店営業部(石川有紀撮影) 平成25年度の税制改正関連法が3月末、参院本会議で可決、成立した。今回の改正に盛り込まれた相続税の増税や、孫や子供の教育資金一括贈与にかかわる減税をめぐり、金融業界は活況を呈している。
相続税ではコンサルタント業務を通じた新規の顧客獲得が、教育資金贈与では信託商品の販売拡大が、それぞれ見込めるためだ。新商品やセミナーを続々と打ち出し、相続ビジネスを取り込もうと熱を帯びている。
「今年は相続沸騰元年だ!」
持論を熱く披露するのは三井住友信託銀行の常陰均社長だ。相続税改正により、基礎控除額は4割引き下げられ、相続税の課税対象者が増加。全国の平成22年の死亡者数は約120万人で、このうち相続税がかかったのは約5万人、割合は4・2%だった。税制改正により、平成27年には6~7%に増えるとみている。
これを受け、同行は2月に全国109カ所で「税制改正セミナー」を開催した。例年の1・5倍となる9千人超が参加し、3月にも追加セミナーを実施。
大阪市内で3月に開催されたセミナーにも、シニア層や相続を受ける側とみられる現役世代が訪れ、税制改正スケジュールや土地所有の場合の課税など、税理士や財務コンサルタントによる説明に熱心に耳を傾けた。
りそな銀行も3月に大阪市北区の富裕層向けサロン「リラクゼ」で税制改正セミナーを開催。「相続税の課税対象者が広がることで、相続への関心が高まっている」(同行広報)として、税理士による説明のほか、「エンディングノート」に託したメッセージを資金と一緒に相続する信託商品などをアピールした。
富裕層の資産や不動産運用の専門家集団である信託銀行は、いわば“相続のプロ”。遺言信託などは富裕層が主な対象だったが、税制改正で顧客の裾野が大きく広がることになる。
特に安倍政権の目玉政策「孫への教育資金1500万円非課税措置」では、法案成立直後に三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行の3行がそろって新商品「教育資金贈与信託」の発売を発表した。
税制改革では、祖父母らが30歳未満の孫などの教育資金を金融機関に信託した場合、孫1人につき1500万円まで贈与税が非課税となる。27年末までの契約が条件だが、まとまった額を非課税で一括贈与できる。
孫が30歳になった時点で使い切れなかった場合、残額に贈与税が課税されることもあり、「住宅ローンや教育費で出費が多い現役世代の助けになるうえ、消費喚起効果も期待できる」(三井住友信託銀の財務コンサルタント)という。相続や財産贈与は富裕層だけのものではなくなってきた。
こうなると、一般の銀行も相続ビジネスの沸騰を、手をこまねいてみているわけにはいかない。
銀行本体で信託を兼営している三井住友銀行は、昨年度から相続関連商品を相次いで投入している。3月には新商品「家族リレー信託」の取り扱いを開始。信託の仕組みを利用し、老後の生活資金のための資産運用や、本人死去後に残余金を受け取る相続人の指定などを組み合わせることで「手軽に老後資金や遺族に資産をのこしたいというニーズに対応した」(広報)。
そのほか、従来は三井住友信託銀行に紹介していた相続財産調査や分割協議書作成などの「遺産整理業務」を自行で開始するなど、信託ニーズの掘り起こしに本腰を入れ始めた。
信託機能を持たない地銀も商機をうかがっている。池田泉州銀行は信託銀行と代理店契約を結び遺言信託などを扱ってきたが、税制改正をにらみ、3月に自行の新商品として「相続定期預金」を発売。
相続で受け取った現金を預け入れると、金利を上乗せして運用する。同行広報は「高齢化と相続税の基礎控除額引き下げで相続対象者が広がり、顧客に関心が高まっている」と商品開発の狙いを話す。
相続ビジネスの拡大を図る金融関係者がそろって指摘するのは、「相続は争族」「家族間の財産配分をめぐるセンシティブな問題」ということ。金融各社はワンストップで相談できる体制と商品の充実で顧客の取り込みを狙うが、複数世代にまたがる息の長いビジネスだ。勝負を分けるのは、親密に相談できる金融マンのコンサル力と信頼性になりそうだ。