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クラボウ“畑違い”でも自信満々 新事業プリンター販売の狙いは?

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クラボウ“畑違い”でも自信満々 新事業プリンター販売の狙いは?

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クラボウが輸入販売を始めたAZONの「UVTT」(クラボウ提供)  名門紡績会社として知られるクラボウが4月、東欧・クロアチアの企業から業務用プリンターを輸入し、国内での販売事業に乗り出した。市場の一部からは「本業とは畑違い」「成算はあるのか」など危ぶむ声も上がるが、同社は自信満々だ。「綿の生地を染色加工する技術から派生した“新規事業”だ」というのがその理由なのだが、海外製プリンターと染色加工がどうすれば結びつくのか。その背景に迫った。

 低価格の本格派

 4月中旬、東京都内で催された販促関連の見本市。来場者の注目はクラボウが出品した業務用インクジェットプリンターに集まった。

 コンビニエンスストアにあるコピー機ほどの大きさ。ギフト用品やノベルティー(記念品)に図柄や写真を簡単に印刷できるという触れ込みだが、国内ではなじみのないクロアチアからの輸入品とあって、立ち止まって“品定め”する人も見られた。

 同社が販売するインクジェットプリンターは、クロアチアのAZON(アゾン)製の2機種。

 幅130センチ、高さ68センチ、奥行き120センチの「UVTT」は、ボールペンやゴルフボールなどの曲面にも印刷できるほか、厚塗りの油彩画のように凹凸感を表現できるのが特長。価格は298万円(税別)。

 同程度の価格帯の業務用プリンターの多くは、A3判程度の大きさしか印刷できないが、UVTTは新聞を見開いた程度のA1判程度の物体にも印刷できる。スマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone(アイフォーン)5」用ケースの場合、40~45個を並べていっぺんに印刷できる。同価格帯の従来機種の約6倍と、生産効率は一気に上がる。

 皮革にも対応

 一方、幅85センチ、高さ52・5センチ、奥行き89センチの「dts white」は樹脂や繊維に浸透しやすい微粒子インクを使うことにより、人工皮革やフィルムなどの伸びる素材に印刷してもひび割れしにくく、金属やガラスにも対応する。価格は198万円(同)。

 業務用プリンターを手がける国内企業は多いが、クラボウ情報システム営業部部長付の成田裕さんは「割安感のある価格で大判インクジェット印刷をこなせるプリンターは少なく、アゾンと手を組んだ」と説明する。アゾンは欧州のプリンター専業メーカーとして知名度が高く、品質の良さも評価されている。

 綿生地の染色加工から派生

 クラボウが、本業の綿紡績事業とは懸け離れたプリンターの輸入販売を手がけたのはなぜか。実は、同社は、綿生地の染色加工では世界トップクラスの技術を誇る。染色性能を高めるため、インクジェットプリンターを他社と共同開発し、平成21年には外販にも乗り出したほどだ。ただ、1台1億5千万円もする超高級品のため、売れたのはわずかにとどまる。

 このため、インクジェットプリンター市場を広げて将来のビジネスチャンスにつなげようと、低価格品の輸入販売に踏み切ったのだ。

 4月上旬の発売後、早くも購入者が出始め、引き合いも増えている。

 さらなる皮算用

 クラボウはさらに先を見据えている。同社は、染色加工で培ったコンピューターによる配色シミュレーション(模擬実験)システムを自社開発し、何千万色もの組み合わせを画面上で再現できるノウハウを持つ。

 取引先から「クラボウの配色システムを売ってほしい」との声が上がり、事業化が実現している。現在は、自動車や塗料などの大手メーカー各社がクラボウのシステムを導入しているという。

 同社は、アゾン製のインクジェットプリンター2機種の年間販売目標として計100台を掲げている。市場が広がれば、「プリンター単体の売り上げだけでなく、配色システムとのシナジー(相乗効果)も見込める」とそろばんを弾く。

 プリンターや配色システムを含む同社の「エレクトロニクス」事業の23年度売上高は42億円と全社の3%弱に過ぎない。本業の繊維事業が伸び悩む中、エレクトロニクス事業を成長分野として力を入れる。これだけのノウハウがあれば、伸び代はかなり大きそうだ。(藤原章裕)

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