ニュースカテゴリ:企業
サービス
ゴルフ会員権、首都圏で急騰 アベノミクス波及、富裕層を誘引
更新
ゴルフ会員権の価格が急上昇している。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による株高に背中を押される格好で、富裕層の個人が資産として購入を急いでいるとみられ、相対的に価格が高い首都圏の名門ゴルフ場での上昇が目立つ。会員権相場は数カ月遅れで株価に連動するとされ、先高感に誘引される形で今後も上昇が続きそうだ。
「早くしないと手が届かなくなってしまう」。東京都内に住む自営業者(65)は、ビジターで訪れたことのある名門ゴルフ場の会員権購入を検討中だが、最近の急上昇で戸惑い気味だ。
会員権の相場は、関東地方の価格が全国の先行指標となる。名門を中心とする関東ゴルフ会員権取引業協同組合によると、関東地区の主要ゴルフクラブの平均は9日現在、4月末と比べて10万5000円高い273万4000円。過去最安値とされる190万円に落ち込んだ政権交代前の2012年11月と比べると、4割以上も上昇した。
名門とされる都内のゴルフ場では、小金井カントリー倶楽部(小平市)が9日現在で5900万円と12年11月の4500万円から3割以上も上昇。東京よみうりカントリークラブ(稲城市)は直近が1575万円で、12年11月の885万円より8割も高い。
大手仲介会社の住地ゴルフによると、交通が利便で歴史の長い名門ゴルフ場に人気が集中。交通の便が悪い地方のゴルフ場などの会員権は取引が少なく、「二極化傾向」にある。
一般的なゴルフ場を多く含む同社の集計では12年11月時点で関東地区の平均は114万円、関西は102万円だったが、5月10日現在は関東155万円、関西116万円。上昇傾向にあるものの、バブル景気の末期で過去最高とされる1990年2月の3458万円(関東)、2776万円(関西)の20分の1程度に過ぎず、過熱感はさほどない。
業界関係者によると、会員権取引の活発化は中小企業経営者などの富裕層に支えられている面が強く、「バブル期のような投機的な動きにはならない」との見方が多い。
90年2月には小金井が4億2000万円、よみうりが1億4950万円に達するなど、まさにバブルだった。
ただ、アベノミクス効果で「ゴルフ場の利用者が増えている」(住地ゴルフ)といい、会員権を取得する一般ゴルファーが今後増えれば、相場の急伸につながる可能性もある。(藤沢志穂子)