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ドコモ、スマートハウス技術開発 5つの電力供給源から効率配電
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ドコモのHEMS NTTドコモは、家庭に設置した太陽光パネルや蓄電池、電気自動車など計5つの電源から複合的に電力供給を受けながら、停電時の電力をまかなえる独自の「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」を開発した。
IT(情報技術)を使って家庭内で家電製品などへの電力需給を制御し節電にも貢献するHEMSはこれまで、三菱電機や東芝、パナソニックなどの電機メーカーが市場を牽引(けんいん)してきた。ドコモがHEMSを導入したモデル住宅はすでに販売されており、携帯電話会社としては初の試みが業界に風穴を開けそうだ。
仙台市中心部から北東に約7キロの住宅地、同市宮城野区田子地区。ここに新築したばかりの戸建てが16戸立ち並ぶ。見た目は周りの家と変わらないが、中身は「スマートハウス」。ドコモのHEMS技術を活用した省エネ住宅だ。
HEMSはITを使い、(1)太陽光パネルや燃料電池など電力を「創る」装置(2)蓄電池や電気自動車(EV)など「貯める」装置(3)家電など電力を「使う」装置(4)発電量や使用量をチェックできるタブレット端末など電力を「見る」装置-を連結させる。こうすることで、昼間は太陽光発電で電力をまかない、夜は蓄電池や電力会社からの電力に頼るといった“使い分け”が可能になり、節電につながる。
また、家電の使用時間や使用量を計測することで各家庭の生活パターンを把握。同じ地域内で「夜型生活」の家庭と「朝型生活」の家庭をうまく組み合わせ、電力使用のピークをずらすといった効率的な配電ができる。
ドコモが開発したHEMSの最大の特徴は多彩な電力供給源だ。(1)電力会社からの購入電力(2)太陽光パネルの発電電力(3)リチウムイオン蓄電池にためた電力(4)都市ガスから水素を取り出して発電する「燃料電池」の電力(5)EVにためた電力-の5種類に対応が可能。
しかも、ドコモのHEMSは電力会社への売電機能をあえて省き、「電力会社の電力網とは独立した形態」(ドコモ法人営業担当者)を採ったため、停電時でも発電電力を家庭電力に利用できる。余剰電力の売電を主目的とし、停電時には家庭での消費より電力会社への送電を優先する通常のHEMSよりも「危機管理向き」といえそうだ。
さらに、3GやLTEといった無線通信回線を使い、スマートフォンやタブレット端末上で発電設備の稼働状況や消費電力をチェックできるほか、状況に合わせた最適な充放電を自動的に指示できる。
「最適」の基準は天候を考慮したうえで、EVの走行距離などから生活情報を集めて推測するといい、この機能では特許も出願中だ。
ドコモの“挑戦”はこうした技術開発にとどまらない。
ハウスメーカーと共同して建築した仙台市の16戸は4000万~5000万円で実際に販売。今後のHEMSの本格開発、販売については「現時点では未定」(同社)とするが、システムの中核である通信技術に強みを持つドコモの参入はあながち“的外れ”とも言い切れない。
市場調査会社の富士経済によると、HEMS市場は2012年の約30億円から20年には119億円と4倍近くに成長する有望分野。
それだけにドコモの動向は、先行者である電機メーカーや同業の通信事業者の事業戦略にも大きな影響を及ぼしそうだ。(渡部一実)