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三菱自、業績好調も本格復活は正念場 パジェロで一世風靡した面影なく…

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三菱自、業績好調も本格復活は正念場 パジェロで一世風靡した面影なく…

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 軽自動車のリコールをめぐる消極的対応やプラグインハイブリッド車(PHV)の不具合に揺れる三菱自動車。だが、2013年3月期連結決算は10年ぶりに最高益を更新、足元の業績は絶好調だ。

 円安の追い風もあったが、アジアなど新興国市場の好調に救われた格好。さらに不採算工場の売却や車種の再編などに取り組んできたことも大きい。

 14年3月期は、世界全地域での販売増をもくろんでおり、最高益の更新を狙う。ただ、国内市場での存在感低下や、優先株処理など課題がまだ残っており、本格復活への道は予断を許さない。

 品質への不安払拭

 「過去にも深刻なリコール問題があったのに恥ずかしい。不退転の決意で改革に取り組む」

 先月25日の決算会見で、益子修社長は神妙な面持ちでこう決意を述べた。昨年12月にリコールに消極的だったとして国土交通省の立ち入り検査を受けたためだ。

 ただ、供給を受ける電池に不具合があったとしてPHV「アウトランダーPHEV」の出荷も取りやめるなど、問題がその後も露呈。品質への不安払拭に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。

 その一方で、13年3月期の最終利益は379億円と10年ぶりに過去最高益を更新。14年3月期は中期経営計画で掲げた目標450億円を上回る500億円を見込む。

 円安に助けられた部分もあったが、東南アジアなど新興国での販売が小型車「ミラージュ」を中心に好調を維持。さらに12年度に稼働率が低迷していたオランダ工場を売却、販売不振だった「ギャラン」など北米専用モデル4車種の生産も取りやめた。

 着実に進めてきた選択と集中の成果も確実に表れ始めている。益子社長も「会社もだいぶ力がついてきた」とかみしめるように話す。

 地域別でみると、欧州は13年3月期は営業赤字だったが、14年3月期は4年ぶりの黒字転換を見込む。北米も14年3月期は7年連続の赤字ながら前期比160億円改善する見通しだ。

 新興市場に活路

 こうした状況に、コンサルティング会社のローランド・ベルガーの長島聡シニアパートナーは「今後の活路は、アジア、南米といった新興市場。三菱ブランドが強いのは魅力だ。ディーラー網を時間をかけて築いており、強みがある」と分析する。

 ただ、国内は依然厳しさが残る。かつてスポーツ用多目的車(SUV)「パジェロ」や軽自動車「パジェロミニ」で一世を風靡(ふうび)した面影はなく、登録車の販売は、軽自動車が主力のスズキに抜かれる始末。新車投入の失敗も重なり、「三菱自動車の管理顧客数は減少の一途をたどる」(大手自動車幹部)。

 この結果、12年度の国内販売は前年度に比べて11.4%減の13万4000台で3年連続のマイナス。シェアは11年度の3.5%から2.8%へ低下した。

 6月上旬には日産自動車と共同開発した期待の軽自動車の発売を控えるが、「店舗数が少なく、どこまで売れるかは不透明」(証券アナリスト)だ。社内でも「軽が失敗すれば、国内撤退が現実味を帯びてくる」(同社幹部)と不安の声が上がる。

 さらに、過去のリコール隠しで経営危機に陥った際に三菱グループから支援を受けた約4000億円に上る優先株の処理問題も残る。こうした課題をできる限り早期に解決することが本格復活の鍵を握ることになる。(佐藤裕介)

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