ニュースカテゴリ:企業
情報通信
マンション開発にフェイスブック活用 アベノミクス効果で盛り上がる市場
更新
首都圏新築マンションの発売戸数 リーマン・ショック以降、トンネルの中をさまよっていたマンション市場が活気づいてきた。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果に加え、来年に見込まれる消費税増税を前に、市場は急速な盛り上がりを見せている。
こうした中、にわかに脚光を浴びているのが、交流サイト(SNS)のフェイスブック(FB)を活用した物件の開発や販売だ。不動産各社は、主婦の声を集めて商品企画に反映させたり、地元住民との交流を促進。価格や立地だけでないプラスアルファで購入決断を促す重要な手段となっている。
東京建物は、6月8日から発売する「ブリリア大山ザ・レジデンス」(東京都板橋区)で、FBを通じて外部から寄せられた意見を会議で検証し、商品に反映させる初のプロジェクトを実施した。
同プロジェクトは同社の女性社員だけで構成。マンション選びで主導権を握る女性の共感をいかに得るかが課題だった。担当した野口真利子リーダーは「間取りや商品企画など、十数回にわたって外部に意見を求めた」と振り返る。
FBでの対話を通じ、これまで提供してきた商品が、必ずしも女性のニーズに応えていないことがわかった。例えば、料理が好きな人と、できるだけ効率的にしたい人とでは、キッチンに求められる形状も異なる。
このため同物件では、キッチンを「料理を集中して行うために壁側にシンクがあるタイプ」や「シンクがリビング側にあり、テレビなどを見ながら作業できるタイプ」など複数のタイプから選べるようにした。また、洗面所なども細部を工夫した。今後も年に1~2棟のペースで同プロジェクトに基づく開発を進める方針だ。
野村不動産は、昨年に販売を行った「プラウドシティ元住吉」(川崎市中原区)で、FBを導入。近隣の「ブレーメン商店街」をアピールすることで、元住吉という街の魅力を伝えた。成果も上々。第1期販売分200戸のうち、14戸の世帯がFBの影響を受けて、購入に至ったという。
長谷工コーポレーションなどがさいたま市浦和区で販売している「浦和常盤 ザ・レジデンス」もFBを活用している。各購入者が、新たな土地でコミュニティーを形成するには時間を要するのに加えて、今回は閑静な住宅街の中に建つことを考慮。
「FBによる地域情報を通じて街を好きになってもらうことで、周辺住民との間でも良好な関係を構築する」(長谷工コーポレーション住宅開発事業部の宮崎武彦・事業推進2部長)のが目的だ。
一般的な物件サイトには、供給者側の目線による写真や情報が掲載される。これに対し、今回の専用FBには客観的な視点に基づいた、周辺エリアの写真やお店の情報が集まる。参加者が評価する「いいね」の数は1800を超えた。営業企画部の増子真司部長は「エリアに特化したFBとしては、好調なペースで伸びている」と分析。今回の成果をもとに、管理などを含めた総合力を一段と強化。差別化戦略に弾みをつけていく。
首都圏マンション市場は2008年以降、3万~4万戸台と低迷していたが、13年はアベノミクス効果で大幅な増加が見込まれる。
また、安倍政権では、成長戦略の一環として女性の社会進出の促進を重要テーマとして掲げた。こうした中、「マンションに対するニーズも、さらに多様化する」(東京建物の野口さん)のは確実で、FBなどSNSを活用し、商品開発に反映させる戦略は今後、さらに活発化しそうだ。(伊藤俊祐)