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災害時の通信回線制御、国際標準へ ドコモなど通話向け技術開発

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災害時の通信回線制御、国際標準へ ドコモなど通話向け技術開発

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人口100万人の都市を想定した実験のイメージ  NTTドコモは通信機器メーカーなどと共同で、地震などの災害発生時に動画視聴やゲームに利用されている通信回線を強制的に通話向けに振り分け、携帯電話の回線を確保するデータ制御技術を開発した。

 2020年にも実用化する。同分野では日本が他国をリードしており、24日からドイツで開かれる欧州電気通信標準化機構(ETSI)の会合で、この技術を国際標準とする方向で合意する見通しだ。

 新技術は東日本大震災で被災地の通信が寸断されたことを受け、総務省が2011年度補正予算を使い民間に開発を委託。ドコモ、NEC、富士通などが開発に取り組んできた。

 現行の携帯電話の通信方式は、音声通話が第3世代「3G」、データ通信は3.9世代「LTE」を併用しているが、この制御技術は音声もLTEになってから適用する。

 LTEネットワーク上でサーバーの仮想化技術を用い、日常的に混在して送受信されている(1)通話(2)メール(3)動画視聴やゲームなど「リッチメディア」-の構成比率を変更。災害時にはリッチメディアの周波数利用比率を絞り、その余剰分を通話用に振り分ける。

 今年1月には100万人規模の都市の被災を想定した実証実験を実施した。音声通話が通常の50倍、メールなどパケット通信が通常の4倍集中したと仮定すると、通信回線を通話に振り分けない場合、集中した音声通話225万件のうち実際につながるのは11万件となり、20回に1回しかつながらない。

 しかしリッチメディアを絞れば通話は56万件つながり、4回に1回のペースと大幅に改善した。切り替え作業には約30分かかった。

 同様の技術は、英ボーダフォンや米AT&Tといった欧米の通信大手も開発中だが、実証実験には至っておらず、「日本が大きくリードしている」(総務省)という。

 日本は、ETSIで各国に同技術の導入を提唱。実務レベルの意見調整ではこの提案が受け入れられる公算が大きく、最終的には国際電気通信連合(ITU)電気通信標準化部門で国際標準化される見通しだ。

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