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スーパー、うなぎ値下げの理由 あの手この手で「お得感」演出
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ダイエーの「土用の丑」関連コーナー。うなぎの売れ筋商品を昨年の2割引きで販売している=千葉県浦安市 22日の「土用の丑(うし)の日」を前にスーパー各社が値下げ合戦を繰り広げている。稚魚の不漁でウナギは年々値上がりしているものの、仕入れの効率化やコスト削減などで原価を抑制。高値のイメージが強いうなぎで割安さをアピールし、店舗全体の「お得感」を消費者に印象付けて集客につなげる狙いもある。
「食文化を守る意味でも、徹底的にやり抜く」。ダイエーの近沢靖英専務は声に力を込める。同社は20~22日に販売する鹿児島県産と宮崎県産の「うなぎ蒲焼(かばやき)(大)」を昨年の同時期よりも2割値下げし、ウナギ関連商品の売上高を昨年の土用の丑(うし)シーズンの1.2倍に引き上げる計画だ。
ダイエーは昨年まで分かれていた総菜部門と鮮魚部門の仕入れを一本化。取引価格が下がった昨秋に大量仕入れするとともに、工場の閑散期に冷凍加工を施してコストダウンを図った。値下げした商品の予約件数は昨年の1.3倍と好調だ。
水産庁によると、4年連続の不漁が続くウナギの稚魚「シラスウナギ」の仕入れ量は、国産と輸入の合計で昨年の約16トンに対して今年は約13トン。取引価格は2006年比で約9倍の1キロ当たり約248万円と高騰している。
このため大手商社の丸紅が今年から、インドネシア産ウナギのかば焼きを輸入するなど、より価格の安い代替品を探る動きも出ている。
西友は宮崎県産のウナギを使った「国産うな重」を8月4日まで通常より300円引きの990円で販売中。マルエツは仕入れ時期の前倒しで原価を抑え、21、22日にかば焼き2品目を昨年の100円引きで売る。
商品の購入ごとに発行するポイントを活用し、かば焼きの販促を図るのは流通大手のイオン。
「相場並みの価格」(広報)ながら、購入者には電子マネー「ワオン」に交換できるポイントを通常の20倍に当たる10%分とし、お得感を演出する。指定養殖場で抗生物質を使わずに飼育したウナギを、保存料を使わないタレで焼き上げる品質も自慢で、8月4日までグループ330店舗で販売する。
イオンの担当者は「夏の風物詩でもあるうなぎは、消費者にとってインパクトのある食材だけに、安心さとお買い得さは店舗全体のイメージ向上につながる」としている。