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山善、中小の環境対策促進と商機拡大両立 省エネ機器販売でCO2排出枠配布
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山善主催の展示・商談会「大阪どてらい市」では、多様な環境機器に関心が集まった=大阪市住之江区 販売促進を担う取引業者に省エネルギー機器の販売量に応じて「二酸化炭素(CO2)排出枠」を無償で配り、中小企業の環境対策促進と商機拡大を両立する-。そんな取り組みで実績を積むのが機械商社大手の山善だ。排出枠を活用し環境貢献とビジネスを両立する先進事例として注目を集めそうだ。
山善は2008年、家庭・産業用環境機器の普及に向けた「グリーンボールプロジェクト(GBP)」を発足させた。対象は、空気の力で湯を沸かす高効率給湯器「エコキュート」や省エネ型エアコンなどと多彩だ。それらを扱う住宅設備・機械工具の販売業者などを巻き込み、すでに900社超が参加した。
参加する利点は、GBP対象の「環境優良機器」を仕入れて販促することを条件に排出枠を受け取り、環境姿勢をPRできることだ。参加各社が対象機器を販売し、それによって達成される「年間CO2削減効果量」を算定し同量の排出枠に交換する。一連の活動が適切に行われたかは第三者機関が認証する。
これまで対象機器販売量に応じて付与してきたのが、途上国での温室効果ガス排出削減事業に投資した見返りに受け取る国連発行の排出枠だ。
自社活動に伴い排出されるCO2を国連の排出枠で相殺(オフセット)してきた企業は531に上る。このうち177社は先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付けた京都議定書の第1約束期間(08~12年)に自社から排出されたCO2のすべてを帳消しにした。山善はその事業者を「カーボンフリー企業」と位置づけ、独自の認証マークを付与している。
とはいえ、排出枠になじみの薄い中小企業の環境意識を高めることは簡単ではない。全国規模の研修会を地道に重ね、やる気を引き出す工夫に知恵を絞った。その結果、小さなエコが大きな環境活動に発展した。第1約束期間に削減したCO2は累計で13万7516トンに達した。
「ビジネスに直結する環境活動でなければ持続しない。得意先を囲い込み環境優良機器の販売数量を拡大したい」(住建事業部の松田慎二マーケティング部長)。その姿勢でエコ事業に注力した結果、環境優良機器の売上高は、12年度実績の884億円から13年度には940億円に拡大する見込みだ。
今後は、国連の排出枠を変え、日本政府が今年度に発足させた新たな「J-クレジット制度」に基づき創出される排出枠を中心にする。省エネ機器の普及や森林経営などに伴う温室効果ガスの排出削減効果や吸収量を国が認証する制度だ。山善はこの動きに合わせて、今月下旬に新GBPを始動させた。今年度に4万トンのCO2削減効果と200社のカーボンフリー化を狙う。
J-クレジット制度は、2つの排出枠創出制度を統合したもの。このうち「国内クレジット制度」は制度終了の13年3月末までに2432件、150万4000トンの「排出削減量」を認証した。京都議定書の目標達成計画で定めた182万トンの約8割を達成した。
経済産業省は、新制度を通じて、1件当たりの排出削減量が少ない事業所などの削減量をまとめて排出枠にする「プログラム型排出削減事業」の普及を狙う。経産省は「家庭や中小企業の小さな環境価値を拾い集めて評価し発展させる有効な手段になる」(環境経済室)と注目している。
使われていない排出枠が100万トンある中、活用促進と需要喚起も残された課題だ。このため、経産省は今後、J-クレジットでオフセットする対象を最終製品だけでなく、旅行商品などのサービスや部品などの中間財に広げることも検討する。
日本は来年から始まる京都議定書の第2約束期間に参加しないが、自主行動で地球温暖化防止という国際社会の責務を引き続き担う。それだけに官民あげて排出枠を創り活用する動きの活性化が問われそうだ。(臼井慎太郎)