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育休復帰の女性社員を戦力化 日本企業にキャリアアップ支援の動き

ニュースカテゴリ:企業の経営

育休復帰の女性社員を戦力化 日本企業にキャリアアップ支援の動き

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 日本企業では、育休から復職した社員が補助的業務に就くケースが少なくない。そんな中、子育てをする社員のキャリアアップを支援する動きが企業に出始めた。これまで“戦力外”になりがちだった育児社員を戦力化することで、職場を活性化するとともに、政府が掲げる女性管理職の拡大につなげる狙いもある。

 「出産までに自分はこれ!というブランドを仕事でつくって」「育児はハンディではなく、生活者という強みになる」

 リクルートは今月、グループ企業の28歳の女性社員と、子供を持つ先輩女性社員の交流会「キャリアカフェ28」を開催した。交流会ではブライダル情報誌の編集長や、メディアにも登場するコンサルタントら一線で活躍する花形社員が自らの出産育児と復帰後の働き方を披露。全国で204人いる28歳社員のうち84人が参加し、質疑応答や意見交換で盛り上がった。

 同社ダイバーシティ推進グループの二葉美智子グループマネジャーは「28歳はキャリア形成や出産で悩み始める時期。復帰後にも成果を出すためには、仕事を量から質へ転換すべきだ」と狙いを話す。

 大和総研などによると、日本は労働者に占める女性の割合が4割超で45%前後の主要国と比べてそれほど開きはない。しかし、管理職比率は11.1%で米国43.1%、仏39.4%、シンガポール34.0%に比べて見劣りする。河口真理子主席研究員は「ワークライフバランスで企業の制度整備は進んだが、福利厚生にとどまり、家庭を担うのも女性のまま。この結果、家庭重視で職場での活躍が期待できない社員を量産した」と指摘する。

 とくに女性比率の高い企業で、育児社員を“戦力外”にしていては、今後の成長はおぼつかない。

 社員の54%が女性で課長級以上の女性の割合も35%と突出しているベネッセは、復帰後の管理職登用に積極的だ。

 そのために育休中から、担当役員や先輩育児社員が参加する復帰前研修を実施。今秋には「出産を含めたキャリア形成を考えてほしい」(人事担当者)と、これから子供をもつ世代の女性社員を対象に、育児社員とのランチミーティングを開催。出産前から復職後も戦力となる社員の育成を始める計画だ。

 8割が女性社員の資生堂は「女性支援は仕事と育児を両立できるところまではきた。これからは男女ともにキャリアアップの段階」(人事担当者)という。女性幹部育成の研修や、男性の育児参加を促す「イクメンランチ」などを仕掛ける。

 大和総研の河口主席研究員は「ワークライフバランスはコストではなく投資。制度にぶら下がる社員を増やすのではなく、育児中社員にも相応の成果を求め、回収する必要がある」と指摘している。(滝川麻衣子)

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