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復興へ…気仙沼市のがれき処理急ピッチ 東日本大震災から2年半

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復興へ…気仙沼市のがれき処理急ピッチ 東日本大震災から2年半

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 東日本大震災の津波などで、1000人以上の死者・行方不明者が出た漁業の街、宮城県気仙沼市。あれから2年半が経つが、市内は「まだ復旧段階。復興まで進んでいない」(タクシー運転手)状況だ。そんな中、ゼネコン(総合建設会社)の大成建設をはじめ9社の共同事業体(JV)による災害廃棄物の処理作業が、来年3月の完了を目指して急ピッチで進む。

 大成JVの処理事業は契約額約641億円で、廃棄物164万トンのうち、気仙沼市の処理分28万トンを除いた計136万トンを処理する。市内3地区の処理現場のうち、南部の小泉地区では25万トン分の処理を終え、8月末に宮城県内で初めてがれき処理を終えた。9月に入り、焼却炉など施設の解体・撤去作業が始まった。

 24時間フル稼働

 昨年5月に事業を始めた現場では、地元・気仙沼での採用者を中心に最大約1400人が働く。廃棄物処理は約5割(8月末時点)が済んだが、事業完了の期限も刻一刻と迫る。

 陣頭指揮をとる市沢徹・作業所長(58)は「今が最盛期で、来年3月まで気が抜けない。24時間フル稼働の状況が続くだろう」と語る。

 被災地のがれき処理事業は、ゼネコンをはじめとした建設各社がJVを組む形で復旧・復興に一役買っている。宮城県内の場合、気仙沼市の大成建設だけでなく、石巻市で鹿島、南三陸町で清水建設、亘理町で大林組がそれぞれ事業を進めており、来年3月末までの事業完了を目指す。

 環境省によると、東北の被災3県(岩手、宮城、福島)で発生した災害廃棄物の処理は7月末時点で全体の79%(1263万トン)、土砂などの津波堆積物は55%(566万トン)の処理を終えた。県別(同月末時点)では、廃棄物で宮城86%、岩手69%、福島54%。津波堆積物が宮城64%、岩手44%、福島30%。

 がれき処理事業は、建設各社にとって未経験ともいえる事業だ。ただ、政府からの要請もあり、非常事態を打開する意味で「被災地の早い復旧・復興にお役に立たなければならない」(中村満義・日本建設業連合会会長=鹿島社長)という思いで現場で汗をかく。

 国は、岩手や宮城両県の廃棄物処理は「目標達成に向け着実に進んでいる」(環境省)とし、来年3月末の完了を見込む。ただ、福島県は東京電力福島第1原子力発電所に近い地域で処理が進まない状況も残る。

 託児所で雇用確保

 大成JVによる気仙沼のがれき処理事業の現場では、珍しい光景もある。事務所に隣接したプレハブ小屋では、幼い子供たちが楽しそうに走り回る。

 今年5月、大成JVは従業員らの福利厚生を充実させる狙いで、託児所「キッズテラス気仙沼」を開設した。子育て・介護サービス事業を展開するポピンズ(東京都渋谷区)の協力を得て運営し、現場で働く従業員らの1~3歳の子供4人を預かる施設だ。

 「(幼児らが)散歩している姿を見ると、心が癒やされます」

 “園長”を自任する成沢佳彦・統括事務長(50)は笑顔を見せる。

 この託児所は、地元住民らの雇用を確保する側面もある。施設長を務める須藤成美さん(23)は「地元・気仙沼で生まれ育ったので、働く場所があるのはありがたい」と話す。

 その一方で、救急車のサイレン音で3歳児が「こわーい」と反応するのを見ると「こんな幼い子供たちも、震災の経験を覚えている」(須藤さん)と言い、心のケアに気を配るという。

 ただ、この託児所は気仙沼の処理事業が終了する来年3月末で終了する。大成JVは9月から、従業員らの来年4月以降の再就職先を見つけるため、ハローワークと連携した求人情報の提供や相談会などの支援事業を本格化させた。

 しかし、須藤さんは「保育士を続けたいが、地元に残るか、東京に出て勉強するか迷っている」と、再び人生の分岐点に立たされる状況も迫っている。(西川博明)

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