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【Sakeから観光立国】失われつつある日本酒の誇り取り戻す
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□平出淑恵さん(酒サムライコーディネーター)
先週11日、京都・下鴨神社で、8回目の酒サムライ叙任式が行われ、新たに国内外の7人の酒サムライが誕生した。
叙任式は公開されているが、叙任者とその親族、全国から集まった蔵元など、ほぼ関係者だけが見守る中での厳かな儀式だ。神社に正式参拝し、巫女(みこ)による神楽の奉納、叙任式の後、高まる緊張の中での叙任者の感動のこもった記者会見、世界遺産である下鴨神社の宴会場での日本式お祝いの会と続く。
日本酒造青年協議会(会長・関谷健・関谷醸造=愛知県設楽町=社長)が主催する酒サムライ事業。叙任式は毎年、活動の初心に戻るまさにそんな一日だ。式の冒頭、滝澤酒造(埼玉県深谷市)の社長で、同協議会副会長を務める滝澤英之氏が、朗々と語った設立趣意を聞きながら涙が流れた。一部を紹介したい。
「今、最も日本文化の誇りを忘れているのは、日本人ではないでしょうか。そして、最も日本酒の誇りを忘れているのも、日本人ではないでしょうか。日本酒造青年協議会は、日本酒文化の継承者たる酒蔵の若者たちが集い、切磋琢磨(せっさたくま)する団体です。失われつつある日本酒の誇りをもう一度取り戻すために、日本酒文化の担い手である私たちが、今こそ行動を起さなければなりません。私たちは、日本酒を愛し守る『サムライ』として日本文化と伝承技の結晶である日本酒が世界に誇れる文化であることを、世界にあまねく伝えていこうと決心致しました」
世界最大規模のワインコンペティション、IWCに2007年から日本酒部門ができたのも第1回酒サムライ叙任者、サム・ハロップ氏の尽力だ。今月26日、東京・日本橋YUITOで日本初のIWC公認イベント「IWC2013受賞 日本酒試飲会」が開かれる。若手の蔵元が世界に発信した日本酒の凱旋のような、金賞を受賞した蔵ばかりの会だ。詳細は酒サムライのホームページで。
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【プロフィル】平出淑恵
ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワインコンペティション、インターナショナル・ワイン・チャレンジの日本酒部門創設に参画。観光庁酒蔵ツーリズム協議会メンバー、乾杯SAKE学苑(台湾)校長などを務める。