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【1000万台の先へ トヨタ 新たな挑戦】(4)終わりのないカイゼン

ニュースカテゴリ:企業の自動車

【1000万台の先へ トヨタ 新たな挑戦】(4)終わりのないカイゼン

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 ■「国内生産300万台」で技能守る

 愛知県豊田市。トヨタ自動車高岡工場には「技能伝承ライン」とも呼ばれる社外秘のブラックボックス・ラインがある。最先端の工場でありながら、そこには機械を止めて“手づくり”する工程もあるという。

 このラインの目的は、手作業によって技を伝授すること。熟練技術者が長年にわたって培った高度なノウハウを若手に継承するもので、そこには機械を超える「何か」が存在する。

 それは何なのか。トヨタ関係者は「魂でしょう。魂を受け継いでこそモノづくりを大きな視点から理解できるようになる」と明かす。クルマとともに“人を生産する”ラインなのだ。

 ◆原価改善の努力

 最強の製造業-。トヨタがこう称されるのは自動車業界の頂点に立っているからだけではない。徹底的に生産の無駄を省く「カイゼン(改善活動)」や「かんばん方式」などトヨタの生産方式は付加価値が高く、世界中の製造業の手本となってきたからだ。

 トヨタの2013年3月期連結営業利益は1兆3208億円。前期比で9652億円増えたが、このうち4500億円が「原価改善の努力」によるものだ。

 国内自動車市場は飽和状態でもはや成長は見込めない。それでもトヨタは日本をモノづくりの最重要拠点と位置付け、高度な生産方式や革新的な新技術を生み出し続けてきた。

 日本の労働コストが新興国の10倍でも「徹底的に知恵を出して生産性を10倍にし、日本のモノづくりを守っていきたい」。社長の豊田章男はこう述べ、国内での年間生産300万台にこだわる。

 それを支えるのはカイゼンを生み出す「人材」であり、高岡工場のブラックボックス・ラインのように人材育成には経営資源を惜しみなく投入する。7月にドイツで開催された技能五輪国際大会にはトヨタから8人が出場し、2人が金メダルに輝いた。これはモノづくりの高い技能を国内外に示すとともに、人材育成が実を結んでいる証しでもある。

 ◆人は機械の上を行く

 トヨタには生産技術のエキスパート(専門家)に冠される「技監」という職制がある。その1人、河合満(みつる)は「自動化がいくら進んでも、人にしかできない部分は必ず残る。人が(モノづくりの)方法を編み出し、それを機械でできるようにする」と話す。技能(人)はいつも技術(機械)の上をいくというわけだ。

 入社以来50年、製造畑一筋の河合は、国内生産300万台の維持について「手作業で編み出した技能をラインに移すためには、一定の量で作ることが求められる。それが300万台。これがなくなったら日本の技能はなくなる」と説明する。いわば国内300万台は生命線だ。

 その河合がいう。「カイゼンは無限。ベストでなく、いつもベターを追求する。ベストになるとそこで止まってしまう」。終わりのないカイゼンの追求こそがトヨタのクルマづくりを支えている。=敬称略

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