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「第2トヨタ」のクルマづくり “真の現地調達”で世界一支える

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「第2トヨタ」のクルマづくり “真の現地調達”で世界一支える

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4月にタイで発売した新型「ヴィオス」。新興国の中間所得層を狙ったコンパクトカーだ=4月、タイ・ノンタブリ県  昨年9月、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に抗議し、中国全土に吹き荒れた反日デモ。暴徒化した一部の中国人による日系スーパー、百貨店での破壊・略奪行為とともに、放火され、全焼した山東省青島市のトヨタ自動車の販売店の無残な映像は日本人に衝撃を与えた。

 放火されても「中国は重要拠点」

 あれから約1年。青島市から約500キロ離れた天津市で今年8月、トヨタが現地自動車メーカーと合弁設立した研究開発会社「一汽トヨタ技術開発」の新拠点着工の式典が行われた。

 「今後の中国での事業展開にとって重要な拠点。中国のお客さまのニーズに合った、もっといいクルマづくりを実現する」

 中国本部長の大西弘致(ひろぢ)はこう明言した。2年後には設計棟や実験棟が完成、ここが中国向け車両本体の開発拠点となる。

 世界の自動車メーカーがどこも成し遂げたことのない年間販売台数1千万台に挑むトヨタ。成長のカギを握るのは、北米を抜き世界最大市場となった中国を中心とする新興国市場だ。

 100カ国の中間所得層に売り込め!!

 新興国では、2005年から「IMV」と名付けたプロジェクトが進行している。ひとつのプラットホーム(車体)を共有しながらも、各地域の嗜好(しこう)や使用環境にあわせ、ピックアップトラックやミニバン、SUV(スポーツ用多目的車)など新興国専用の世界戦略車作りだ。

 IMVの販売台数は順調に伸長。今後は中間所得層を対象に、100万円前後の小型車を100カ国以上で販売する戦略を描く。

 4月にタイで発売した新型「ヴィオス」。デザインや居住性、装備など“現地現物”を徹底して追求したコンパクトカーだ。生産はタイと中国で、低コスト化を図るため、製品企画本部チーフエンジニアの松田健(たけし)は「“真の現地調達”に取り組んだ」と振り返る。

 具体的には部品だけでなく、材料も現地で調達。これは中国で困難を極め、要求する品質に達しない現地企業にはトヨタのエンジニアが工程改善にまで踏み込んで対応した。

 また、現地の材料を使えるよう設計を変更した部品もあり、調達率は前モデルの87%から98%にまで高まった。新型ヴィオスは80カ国で販売を計画しており、新興国を“攻める”ための戦略車になる。

 1000万台の半分は新興国で稼ぐ

 新興国を担当する「第2トヨタ」の対象は中国、中近東、南米など約140カ国におよぶ。「将来のトヨタを支える収益基盤をつくるのが使命だ」。第2トヨタを率いる副社長の伊原保守はこう強調する。

 第2トヨタの昨年の販売台数は約370万台。当面の重点エリアは中国、インドネシア、インド、ブラジルで、次の市場としてミャンマー、ケニア、カンボジアを位置付ける。

 「将来、トヨタ単体で1千万台を達成したとき、その半分は第2トヨタでまかないたい」。伊原はこう意気込む。(敬称略)

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