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【スポーツi.】スカパー「W杯撤退」は英断か

ニュースカテゴリ:企業の経営

【スポーツi.】スカパー「W杯撤退」は英断か

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 来年6月に開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会のテレビ中継について、衛星放送のスカパーJSATホールディングスの高田真治社長は10月31日の決算説明会で「ブラジル大会でわれわれの出番はないと思う」と語った。中継断念の理由として、放映権料の高騰と、2010年南アフリカ大会で新規加入者が伸び悩んだことをあげ、今回も期待できないと、ソロバンをはじいた。

 1カ月ほど前から、スカパー撤退の情報は流れていた。優良コンテンツを手放せば株価が下がるのではと注視していると、10月初めの508円が31日に年初来高値の579円をつけ、終値は567円まで上昇した。

 普段、兜町とは縁がないだけに上昇の理由を証券会社に勤める学生時代の友人に聞いた。

 「当たり前だよ、上がるのは」

 「え、どうして?」

 「放映権料の高騰はとどまることを知らないんだ。その負担がなくなるのだから、プラスさ。株主たちも歓迎しているはずだし、素直な反応だろうな」

 「スカパーの撤退にはガッカリしたよ。解説陣は個性的で、ファンにこびるようなことがなかったし、ブラジル大会も楽しみにしていたのに」

 「それはサッカーファンの見方に過ぎない。経営判断とすれば、正しいと思うよ」

 ◆高騰続く放映権料

 W杯のテレビ中継は、約1カ月間の大会期間中に延べ400億人が視聴するといわれ、五輪をしのぐ世界最大のスポーツビジネスに成長した。

 国際サッカー連盟(FIFA)が持つ放映権料は大会を重ねるごとに上昇の一途をたどり、1998年フランス大会は総額110億円、06年ドイツ大会は1600億円、10年南アフリカ大会は2700億円まで跳ね上がった。来年のブラジル大会の総額は3500億~4000億円といわれているが、あくまでも推定なので、実際のところは、もっと高いかもしれない。

 フランス大会で日本国内用に提示された額は6億円だったにもかかわらず、02年日韓共催大会のときには200億円にアップした。とても1社では対応できないとして、NHKと民放各社は「ジャパン・コンソーシアム(JC)」を結成した。

 スカパーはJCに加わらない独自路線を選択する。120億~130億円を出資する積極策に打って出たが、加入者獲得に結びつかず、同業他社の負担を軽くするにとどまるという皮肉な結果に終わった。

 前回の南アフリカ大会で、日本に250億円が提示され、スカパーは100億円前後を負担したといわれる。解説者に元日本代表監督のオシム氏を招き、目の肥えたファンのニーズに応えようとした。金銭的にも人的にも思い切った投資を行い、JC以上の良質な番組を制作しながら、苦戦が続いた。

 ◆頭が痛いJC側

 ブラジル大会の国内放映権料は300億~400億円といわれ、スカパーは高額な放映権料に見切りをつけて、世界で最も注目されるスポーツイベントから撤退する道を選ぶ経営判断を下した。

 JC側は莫大(ばくだい)な放映権料を自分たちだけで負担せざるを得なくなり、「スカパー撤退」に衝撃を受けている。受信料によって支えられるNHKは国民の理解を得られるのか、民放はスポンサーを集められるのか、頭が痛い。

 放映権料が俎上(そじょう)に上がるのは、サッカーW杯に限ったわけでなく、五輪、プロ野球、Jリーグなど金額、規模こそ違うものの古くて新しいテーマの一つである。「スポーツ本来の姿が失われる」「金まみれ」「商業主義に毒されている」などと批判されるが、キレイ事、書生論にしか聞こえない。

 「放映権ビジネス」が構築されている以上、経営者は現実的な判断を求められる。今のところ、株式市場は撤退の道を選んだスカパーを評価している。

 JCは、どの道を選ぶのか。サッカーファンに限らず、その“ボールさばき”から目が離せない。(津田俊樹)

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