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クラウドで高齢者に仕事紹介 利用者急増、年収500万円超も
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「ITは苦手」とされている高齢者を対象に、インターネット上で情報をやりとりするクラウド技術を使って仕事を紹介するサービスが続々と登場している。いつでもどこでも仕事を探せる利便性から、年間500万円以上を稼ぐ人や、生きがいを求めて登録する人もいるという。高齢者の労働力活用は政府の成長戦略にも盛り込まれており、有効な取り組みとして注目されそうだ。
ITベンチャーのクラウドワークス(東京都渋谷区)とテレビ東京は今月4日、高齢者向けに、ネット上で完結する仕事を紹介する無料サービス「シニアワークス」を立ち上げた。
データ入力やテープ起こしなどが中心。パソコンに不慣れな人のため、ネット上でセミナーを開くことも検討している。2014年9月末までに登録者10万人、業務依頼総額10億円を目指す。
クラウドワークスは、これまでエンジニアやデザイナーを対象としていたが、口コミなどを通じて高齢の利用者が急増。登録者は現在約8万2000人、このうち50歳以上は約6500人、最高齢は85歳だ。50歳以上の34%は年間240万円以上の収入があり、500万円を超える人もいる。「若い世代のセンスや興味に触れられるのはうれしい」「現役を引退し、田舎に戻ると刺激が少ないのでありがたい」といった反響があり、「高齢者の生きがい」(同社)という思わぬ副産物にも恵まれた。
一方、野村総合研究所の子会社、NRI社会情報システムはシルバー人材センター会員向けに「スマイル・トゥー・スマイル」を展開している。高齢者がスマートフォン(高機能携帯電話)を使って仕事を探したり、報酬を確認したりできる。人材センターの業務・コストの効率化にも寄与しているという。
導入済みの人材センターは1法人(会員数約500人)にとどまるが、14年末までに100法人(約3万人)に増える見込み。今後は人材センターの総会の出欠確認などの機能も追加し、導入事例の拡大を図る。