SankeiBiz for mobile

【未来へ駆ける 東京モーターショー2013】(上)車作り「ワクワク」主眼

ニュースカテゴリ:企業の自動車

【未来へ駆ける 東京モーターショー2013】(上)車作り「ワクワク」主眼

更新

 ■若者離れに危機感 原点を見直し

 23日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で一般公開が始まる2年に1度の自動車の祭典「東京モーターショー」。トヨタ自動車の目玉は、別出展の高級車ブランド「レクサス」を除けば、全て次世代車だ。

 ◆体調や感情共有

 「人と車はもっと仲良くなれる。直感で通じ合える車にしていく」

 トヨタが東京モーターショーに出展したコンセプト車「FV2」。ハンドルではなく、ドライバーの体重移動で前後左右に操作できるゲーム感覚の車だ。車内に積まれたコンピューターは、体調や感情を共有できるような学習機能が装備された。例えば、聴きたいと思うような音楽を車側が提案するなど、乗れば乗るほど車との一体感が生まれ、「愛せる存在になる」というイメージだ。開発に携わった盛合威夫製品企画室主査は「車に対する興味の入り口を広げたかった」と述べる。

 日産自動車が提案した「IDx」。高度成長期の日本車と米国の往年の「アメ車」を足し合わせたような外観が特徴だ。数十人の若者と日産の開発陣が対話を重ねた「コ・クリエーション」(共同創造)によって、魅力ある車を目指した。開発に携わった先行商品企画部の泉謙治氏は「(若年層が)求める車の答えは日産のヘリテージ(伝統・遺産)にあった。やや意外だった」と振り返った。

 車に新たな価値を求めるトヨタと、ユーザーの声に耳を傾けて開発した日産とは、アプローチこそ違うものの、若者の車離れに正面から向き合おうとする姿勢は同じだ。

 ◆「枠にはまるな」

 現在、高い失業率や趣味の多様化で、「先進国では若干、若者の車への関心が薄れている」(日産のゴーン社長)。マツダも「『なんとしても欲しい』と思わせる車がなくなった」(小飼雅道社長)と、開発体制の問題を指摘する。

 2008年のリーマン・ショック以来、長らく業績低迷に苦しんだ国内自動車各社は、環境性能などに特化した、財布に優しい実用的な次世代車を開発の主軸に据えてきた。実用的な車は、車を必需品とするユーザーからは支持を得たものの、本来、車が持つべき魅力には乏しく、潜在的な顧客が離れていったという側面もある。

 アベノミクスによる円安効果で業績が回復したことも大きいが、自動車各社は、今回の東京モーターショーで、環境性能を土台にしつつも、車作りを原点から見直し、「ワクワク、ドキドキするものが自動車」(トヨタの豊田章男社長)と、魅力ある車作りに主眼を置いた。

 「枠にはまるな」が開発テーマのホンダも、「日本の車を面白くしたい」(伊東孝紳社長)として、軽自動車のオープンスポーツカーを出展するなど個性を前面に打ち出した。

 「進化を続けなければ、新興国メーカーに追いつかれ、ただのコスト競争になってしまう」(富士重工業の吉永泰之社長)というのが各社の共通した危機意識だ。100年先も国内自動車メーカーが主役で居続けられるか、大いなる挑戦が始まった。

                   □

 東京モーターショーは若者の車離れが進むといわれて久しい現状を打開すべく、「世界にまだない未来を競え」がテーマとなった。各社の開発への思いや背景、危機感などを追った。

ランキング