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限られた市場に密集 熾烈極めた“大阪流通戦争”

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限られた市場に密集 熾烈極めた“大阪流通戦争”

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大阪地区百貨店売上高の推移 【回顧 関西経済2013(1)】

 「関西最後の一等地」がいよいよ動き出した。JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」(大阪市北区)で4月26日、複合ビル群「グランフロント大阪」がオープン。開発着手から四半世紀を経て、266店舗を集めた商業施設と、産学連携拠点「ナレッジキャピタル」を中心とした大阪の新たなランドマークが誕生した。

 開業5カ月の来場者は2700万人。開業半年で約2792万人を集めた東京スカイツリータウン(東京都墨田区)を上回るペースで、上々のスタートを切ったといっていい。

 ただ、来場者1人当たりの売上高は740円とやや寂しい数字にとどまった。来場者は多いものの、なかなか買い物に結びついていない。その一因は、大阪・梅田のオーバーストア(店舗過剰)にある。

 梅田には阪急百貨店梅田本店、阪神百貨店梅田本店、大丸梅田店、JR大阪三越伊勢丹がひしめく。

 4百貨店の売り場面積は約26万平方メートルと、国内最大ターミナルである東京・新宿の約21万平方メートルを上回る大激戦区。さらに大阪駅ビルのファッションビル「ルクア」なども加わり顧客争奪戦は熾烈(しれつ)を極めている。

 昨秋に増床開業した阪急梅田本店は平成25年度の売上高目標を当初、2130億円に設定していたが、今年5月に1900億円に修正。さらに10月には1880億円にまで引き下げた。JR大阪三越伊勢丹は不振に悩み、専門店誘致などの改善策を模索している。

 “大阪流通戦争”ともいえる状況で、戦線は南にも拡大。日本一の超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)で6月、近鉄百貨店の「あべのハルカス近鉄本店」が一部開業した。完成すれば売り場面積が国内の百貨店では最大の10万平方メートルとなる巨艦だ。8月末までの売上高は前年同期の旧阿倍野店と比べ35・1%増と一見好調だが、目標の88・8%にとどまった。

 各店が厳しい経営を迫られる中、追い打ちをかける問題が起きた。飲食店などでメニュー表示と異なる食材を使用した「食材偽装」の発覚だ。

 10月下旬の阪急阪神ホールディングス傘下の阪急阪神ホテルズ(大阪市)を皮切りに、グランフロントやハルカス近鉄、阪神梅田本店、大丸梅田店などへと広がりをみせた。

 今のところ各店とも売り上げなどに大きな影響は出ていないようだが、「高級」というイメージを持って利用していた消費者の信頼を裏切ることになった。「激しい競争の中にあっても、質は絶対に保たなければいけない」(関係者)。業界各社が、この当然の姿勢を改めて肝に銘じた1年となった。(中村智隆)

 12月も中旬となり、平成25年もあとわずか。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を背景に景気は緩やかな回復をみせている。関西経済の1年を振り返る。

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