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消費税8%、動き出した企業 需要創造、次の一手

ニュースカテゴリ:企業の経営

消費税8%、動き出した企業 需要創造、次の一手

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昨年12月から登場したフォルクスの約900グラムのリブロースステーキ。来店客から好評という=東京・晴海(瀧誠四郎撮影)  安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を牽引(けんいん)役に、「脱デフレ」に向けて歩み始めた日本経済。2日に始まった百貨店の初売りセールが開店前から長蛇の列ができるなど、個人消費は堅調な動きを見せる。だが、消費税が引き上げられる4月以降は、購買意欲の冷え込みも懸念される。商品やサービスが、これまで以上に消費者の厳しい選別にさらされそうだ。各企業は新たな需要創造と生産効率化を求め、「次の一手」に動き出している。

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 ■高額品好調を維持

 「おおーっ」「これはうれしい~」

 ステーキハウス、フォルクス晴海トリトン店(東京都中央区)。注文の料理が運ばれてきた会社員2人組のテーブルから歓声が上がった。

 テーブル中央に置かれたのは厚さ約5センチ、約900グラムの巨大なリブロースステーキ。価格はサラダバー3人分付きで8900円。3人で分けても、1人当たり3千円近くになる豪華版だが、「食べ応えがあり、しっかりとした肉の味が楽しめる」(市川浩之エリアマネジャー)として、来店客からは好評という。

 外食チェーン各社は最近、ステーキなど高価格帯のメニューに力を入れる。背景にあるのは、高額品需要が牽引する堅調な個人消費だ。フォルクスを運営する吉野家ホールディングス(HD)傘下の「どん」がリブロースステーキをメニューに加えたのは昨年12月5日。「少し前までは、こんな高単価メニューは考えられなかった」(同)と話す。

 百貨店では引き続き、高額品の販売が堅調だ。日本百貨店協会によると、昨年11月の美術・宝飾・貴金属の売上高は、前年同月比21%増で推移する。

 三越伊勢丹HDでも、伊勢丹新宿本店の宝飾品や高級腕時計の売り上げが、ボーナス商戦の昨年12月時点で前年に比べて3割近い伸び。大西洋・三越伊勢丹HD社長は、「売れ筋価格帯がこれまでの少し上にある」と分析する。

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 ■「駆け込み」争奪戦

 4月から8%に引き上げられる消費税率は、個人消費の回復基調に水を差しかねない。

 野村証券の木下智夫チーフエコノミストは「増税で実質所得水準も下がり、個人消費は弱くなる。平成26年度の民間消費は前年度比3兆円程度の落ち込みが予想される」と指摘する。

 熱を帯びるのが、駆け込み需要の取り込みだ。

 「増税前に買うにはいつ購入すればいいのか」。都内の自動車販売店ではここ数カ月、こうした問い合わせが絶えない。軽自動車販売店では、「3月までにナンバーを登録すれば大丈夫ですが、人気車種は早めの予約をお願いします」「下取り価格をアップしますので、今決めましょうか」などと、積極的な販促が始まっている。

 三菱自動車は2月発売予定の軽自動車「eKスペース」を3月末までに注文すると5万2500円分の付属品を提供するなどの販促を実施する予定。同社は表向き、「決算期を見据えた対応」とするが、取りこぼしを最小限に防ぎたいとの思いがにじむ。

 小売り各社は、季節商品の前倒し販売を加速させ、競合他社に“先着”したい考え。そごう・西武は初売り商戦が一段落する10日から、前年よりも約2週間も前倒しで春物衣料の展開を始める。厳しい冷え込みが続く時期に、パステルカラーのストールやスプリングコートなど春物衣料に売り場の2~3割をあてる。

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 ■コスト削減でお得感

 価格に敏感な消費者に振り向いてもらうには、合理化で製造コストを下げるとともに、増税分以上の「お得感」を感じてもらう努力も不可欠だ。

 食品メーカーは品目数を絞り込むことでコストを下げる。世界的な燃料費や原材料費の高騰もあって、明治は年間300以上あった新商品の菓子を1割削減、伊藤ハムは今後、ハム・ソーセージなど加工食品の品目を、現在の2300から1500に減らしていく。

 建設資材や人件費の高騰に悩む住宅業界では、住友林業が、住宅の土台となるコンクリートの基礎部分を工場で生産してから現場で組み立てる工法を導入。基礎部の工期を半分に短縮して人件費を削減している。

 「お得感」を象徴するのが自動車メーカーの燃費競争だ。スズキが24年12月に発売した軽自動車「アルト エコ」は、25年3月に燃費性能を1リットル当たり30・2キロから33・0キロとし、さらに同12月には35・0キロに引き上げた。

 狙いはライバル、ダイハツ工業の「ミライース」(33・4キロ)を追い抜くこと。開発費は膨らむが、「価格を上げずに燃費を改善しなければシェアを奪われる」(スズキ)との危機感は強い。

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 ■価格以上の上質感追求

 反動減の影響を受けにくい、腰を据えた商品戦略にかじを切る動きも出てきた。

 ソニーは販売好調なフルハイビジョンの約4倍の画素数を示す「4K」に対応したテレビ販売に照準を当てる。狙うは、2月に開催されるソチ五輪や6月に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会の需要だ。平井一夫社長は「スポーツコンテンツは4Kのような技術と親和性がある」と語る。公式スポンサーを務めるW杯では決勝戦など複数の試合で、4K画質での放送が計画されている。

 流通大手やコンビニエンスストア各社は、利益率の高いプライベートブランド(自主企画、PB)商品の拡充を急ぐ。セブン&アイHDは、「価格以上の上質さを追求していく」(村田紀敏社長)と、高品質のセブンプレミアムの品ぞろえを増やし、平成28年2月期にはグループ売上高で約5割増の1兆円を目指す。

 飲料各社も上質感の追求を図る。アサヒビールは2月、これまでギフト限定だった「スーパードライ ドライプレミアム」の通年販売に踏み切る。サントリー酒類は、「ザ・プレミアム・モルツ」のPR販促を強化。キリンビールも5年ぶりに「一番搾り生ビール」の製法を改良し、「定番価格での上質さ」をアピールする。

 「消費者の選別の目はますます厳しくなる。高い商品にも、安い商品にも、理由が必要だ」。キリンHDの三宅占二社長は、現在の消費動向をこう分析している。

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