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【来年度予算案】 膨らむ公共事業、効果は 消費税増税に即効性期待

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

【来年度予算案】 膨らむ公共事業、効果は 消費税増税に即効性期待

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環状2号線新橋・虎ノ門間の工事現場。森ビルの「虎ノ門ヒルズ」(中央奥)も来年完成するなど、都心部は建設ラッシュに沸いている=11月(池誠二郎撮影)  平成26年度予算案では、公共事業費が約6兆円と、25年度当初予算を約7千億円上回った。増加は2年連続だ。「コンクリートから人へ」を掲げ、公共事業費の削減を続けた民主党政権時代と異なり、安倍晋三政権では景気浮揚策や国際競争力強化など、戦略的に公共事業を活用する狙いが浮き彫りになった。

 ◆首都圏恩恵大きく

 「レンタルじゃなく、新品を買いたい」

 東京・江東区の土木会社では、新しい土木機器の購入の検討に入った。これまではレンタルで済ませてきたが、この夏以降、道路の補修や地下共同溝工事などが増え、機器を自前で購入しても「大丈夫」だと判断したためだ。

 特に首都圏の建設事業者は、公共事業拡大の恩恵を大きく受けている。公共事業費は9年度の9兆7千億円(当初予算ベース)をピークに減少傾向が続き、24年度にはほぼ半減の4兆円台となった。だが政権交代以降は増加に転じ、25年度補正予算でも復興関連を含めた公共事業費は、国の支出(約5兆5千億円)の半分以上を占める。

 26年度当初でも公共事業費は増額となった。建設・土木など公共投資関連業界からは「自公への政権交代で、公共事業を継続して増やしていくというメッセージ」(自民党の赤沢亮正国土交通部会長)に対する期待は根強い。

 補正予算も含めると100兆円規模の予算編成で、公共事業を大幅に増やした最大の狙いは、来年4月の消費税率引き上げに伴う景気悪化への対策だ。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」を牽引(けんいん)してきた個人消費は、消費税率引き上げ前の来年1~3月期こそ駆け込み需要で活発化するが、増税後の4~6月には反動減で減速する見込み。景気刺激に即効性のある公共事業に手厚く予算を配分し、4~6月期の国内総生産(GDP)成長率のマイナス幅を最小限にとどめる考えだ。

 さらに昨年12月の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を受け、首都高速道路の橋脚など老朽化した社会インフラの補修・更新の必要性も高まっている。こうした補修・更新工事は「時間がかかる用地買収の必要がなく、受注からすぐ工事に取りかかれる」(麻生太郎財務相)こともあり、即効性が高いという。

 ◆国土強靱化の要望

 加えて2020年東京オリンピック開催が決まり、都市インフラの整備・強化が必要となった。このほか首都直下型地震や南海トラフ巨大地震への対策や、大規模な洪水被害防止など「国土強靱(きょうじん)化」への要望も高まる。

 こうした中で自民党内からは「積極的な防災・減災への取り組みで、国民の生命・財産を守る。それが政治の責務だ」(二階俊博衆院議員)と公共事業拡大の大合唱が巻き起こった。

 それでも財務省は当初、25年度と同じ枠組みベースで公共事業費を減額する方針だった。しかし、景気回復による税収増加がはっきりし始めた11月下旬、野田毅衆院議員ら自民党の幹部が、麻生財務相を訪ね「公共事業費を減らすと、地方の支持率が下がる。民主党と同じ道を歩むことになる」と詰め寄った。

 「アベノミクスによる景気回復の恩恵が地方には行き渡っていない」という“殺し文句”には、財務省側もあらがえなかった。

 特別会計のルールが変更になり、公共事業に地元自治体が払う「地元負担金」が上乗せされたこともあり、26年度公共事業費は実際以上に膨れあがった。

 ◆入札不調 使い残し

 ただ、公共事業費の経済効果には疑問の声も強まっている。資材価格の高止まりや現場の人材不足、人件費の高騰などで、公共工事の入札は不調が相次ぎ、予算も使い残しが増えている。

 国の一般会計決算では公共事業費の繰越額が年々増えており、24年度は約3兆7千億円にのぼった。「コストが合わず、入札を2次、3次とかけても応募がない案件も多い」(国交省幹部)という。

 入札不調や予算の使い残しが克服できなければ、公共事業の拡充による景気押し上げや、地域経済の活性化も画餅となる。国の借金残高が1千兆円を超えて膨らむ深刻な状況で、増税により家計に負担を強いる以上、国民に十分な成果をもたらす公共事業の実現が、政府の果たすべき責任だ。(平尾孝、黄金崎元)

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