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ビール類「プチ贅沢」と「手頃さ」で二極化 各社13年戦績を左右
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9年連続の減少となったビール類の課税出荷量。年々小さくなっていくパイの奪い合いは激しさを増す一方だが、2013年の各社の戦績を左右したのは、アベノミクスを背景にした「プチ贅沢」志向と、根強い生活防衛意識との二極化だ。高級ビールと、手頃な「第3のビール」の新製品が追い風を受けた。
「多少高くても『プレモル』を、という顧客が増えた」
4年連続でシェアを伸ばしたサントリー酒類の水谷徹ビール事業部長は笑いが止まらない。高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」は前年比6.7%増の1767万ケースと絶好調で、9月発売した期間限定版は、一時販売を休止するほどの人気を集めた。
昨年はビールの課税出荷量が1.7%減った中、高級ビールに限っては約7%の販売増でビール全体の1割以上を占めた。その恩恵でサッポロビールは、老舗ブランド「エビスビール」が1.7%増と3年ぶりに前年超え。第3のビールは、6月発売した新製品「極ZERO」の好調で1.2%増だった。
同様に上位2社も、第3のビールで新製品の好調ぶりが目立った。キリンビールが5月売り出した「澄みきり」は計画を大きく上回る505万ケースを出荷。アサヒビールは3月発売の「クリアアサヒ プライムリッチ」が貢献し、シリーズ出荷量が20.5%増、第3のビール全体で4.4%伸ばした。
ただ両社ともビールについては、業務用を伸ばしつつも、急成長する「プレミアム志向」を取り込みきれず課題を残した。アサヒは「スーパードライ」が伸び悩んでビール出荷量が2.6%減、キリンも「一番搾り」の苦戦で3.8%落とした。両社は今年、高級版でブランド競争力の向上と巻き返しを図る。