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一時金かベアか…「同床異夢」の労使 労働格差改善も重く
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今年の労使フォーラムの議論で明らかになったのは、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によるデフレからの脱却を成功に導くという「労使ともに背負う社会的責任」(基幹労連)が、“同床異夢”に陥りかねない危うさをはらんでいるということだ。
28日午前に労使フォーラムの会場で講演した経団連の米倉弘昌会長は、安倍首相が掲げる「経済の好循環の実現」という言葉を引用し、「十分な話し合いを重ねながら、自社の状況にかなった“解”を見いだしていただきたい」と労使に呼びかけた。
アベノミクスが描くデフレからの脱却の鍵は、国民所得の向上により、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費が上向くことだ。それには、賃上げが1回限りとなる「一時金」になるか、基本給が引き上げられる「ベースアップ(ベア)」になるかによって大きな違いがある。
物価が上昇し、税負担が高まるなかで、国民の所得の向上が経済を下支えするという共通認識はあるものの、「一時金による所得増は消費に回らない」(連合の古賀伸明会長)とベアにこだわる労組側に対し、ベアに慎重な企業もまだ多い。
企業側の慎重な姿勢の背景には、固定費の恒常的な負担増を伴うベアが、国際競争力を損なうリスクを警戒していることがある。
グローバルに事業を展開している企業の多くは、新興国市場での事業拡大を成長の原動力に位置づけているが、企業関係者は「トルコやアルゼンチンなどの新興国通貨の急落に伴う世界同時株安など、不安要素は絶えない」と話す。
一方、今回の議論で目立ったのは、賃金や待遇に関する格差の問題を労組側が強調していることだ。
自動車総連は、「全員で、月例賃金で、底上げに取り組む」というスローガンを掲げ、業種間や規模間の格差や、正規社員と非正規社員との格差の問題を取り上げている。
なかでも、正規と非正規の労働格差をめぐる問題は、業界を問わず深刻さを増している。総務省によると、平成25年の農林業を除く就業人口に占める非正規労働者は、過去最高の1850万人(36・2%)に達している。
政治のリーダーシップで大きな流れが決まった26年春闘。格差是正の問題で“解”を示せるかどうかも問われている。(小島清利)