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「MUSIC FAIR」50周年のこだわり 一緒に並ぶ…音楽の面白さ
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昭和59年7月の放送では、美空ひばりと郷ひろみが「ラブ・ミー・テンダー」をデュエットした
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フジテレビ系音楽番組「MUSIC FAIR(ミュージックフェア)」(土曜午後6時)が今年8月、放送50周年を迎える。民放最長寿のレギュラー音楽番組で、3月1日には放送2500回を達成する。数々の名場面を生み出してきた長寿番組のこだわりから、音楽番組の未来を探る。(三品貴志)
「アーティストと番組の作り手の気持ちがひとつになっているからこそ、50年続いたのだと思う。番組の魅力は、コラボレーション(協力、共演)にある」
フジテレビの亀山千広社長は5日の定例会見で、半世紀の重みをそうかみしめた。
番組の特徴の一つが、たびたび企画される出演者同士の共演ステージだ。過去には山口百恵と世良公則(せら・まさのり)によるポール・マッカートニー&ウイングスの「マイ・ラブ」(昭和54年)や、美空ひばりと郷ひろみがデュエットしたエルヴィス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」(59年)など、豪華な顔合わせに定番の選曲が話題となった。
こうした共演企画の背景には、各時代の人気番組への“反発”があったようだ。番組開始当時は「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)のような音楽バラエティーが主流で、昭和50年代からは「ザ・ベストテン」(TBS系)などランキングを重視した番組も増えた。
フジにも「夜のヒットスタジオ」(昭和43年~平成2年)や、「HEY!HEY!HEY!」(6~24年)といったバラエティー色の濃い番組があった。このため、現在番組のチーフ・プロデューサーを務めるきくち伸さんは「ミュージックフェアはちゃらちゃらする必要がなく、独自路線を追求できた」と分析する。
ただ、「HEY!HEY!HEY!」の放送が24年に終了したことで、「ミュージックフェア」にも変化が生じつつあるという。きくちさんは「今はフジテレビ“本線”の音楽番組になっている。以前、アイドルはあまり出なかったけれど、呼ぶ機会を増やさないと、その時代を切り取り損なう」と説明する。
一方、本格音楽番組を目指すスタッフの情熱は今も健在だ。40年にわたって番組に携わってきた石田弘エグゼクティブ・プロデューサー(70)が、今も年に数回ディレクターとして現場を指揮。好評だった共演は年末特番「FNS歌謡祭」で披露するなど、「創造の場」としての存在感も増している。
「ロックも演歌も、アイドルも洋楽も一緒に並ぶ感覚を大事にしたい。ゆずを目当てに見ていた人が、氷川きよしの良さに気づいたり…音楽の面白さって、そういうところにあると思うんです」ときくちさん。
きくちさんは、フジの音楽番組を横断的に手掛ける制作チーム「音組」を主宰している。目的は、生歌と生演奏を重視した番組作りを進めるためだ。実際には歌っていない「口パク」や演奏していない「カラオケ」が多いとされる近年の音楽番組への反発に加え、動画サイトの普及などで音楽番組の視聴率が低迷していることも背中を押しているという。
「カラオケを全否定するわけじゃないけれど、ロックバンドが『当て振り(演奏しているふり)』をしているとがっかりする。CDが売れない中でライブが盛況なのは、『その時、その場所』でしか見られないものだから。テレビも『オリジナル』を送ることが大事なんだと思います」
東京五輪開幕直前の昭和39年8月31日に放送開始。トークは控えめに、良質な音楽と映像美をじっくり伝える番組スタイルが特徴で、これまで国内外から延べ6931組のアーティストが出演した。番組では現在、1月30、31の両日に大阪・フェスティバルホールで開かれた放送2500回記念コンサートの模様を紹介している(3月29日まで)。