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シャープ創業102年目で入社式初公開 「変わる意志」を内外アピール
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入社式で気勢を上げるシャープの役員と新入社員ら=1日、大阪市阿倍野区のシャープ本社 経営再建中のシャープが変わろうとしている。新年度に入り主要企業が一斉に入社式を開くなか、創業102年目を迎えた歴史で初めて入社式を報道関係者に公開した。これまでは、あくまで社内行事として公開を控えてきたが「会社が変わる意志を社外に発信する」(高橋興三社長)場に位置付けた。開かれた入社式は組織・意識改革を進めるシャープの今の姿を映し出していた。(織田淳嗣)
「まず最初に、社長の高橋さんです」
1日、大阪市阿倍野区で開かれた式典では、役員9人が役職ではなく「◯◯さん」と呼ばれ、順番にあいさつした。
同社は昨年から、社員同士は相手を「さん付け」で呼称する運動を推進している。背景には、経営陣や上司の判断に「ノー」と言えない社内の雰囲気のため、経営危機を招いた巨額投資を止めることができなかったとの反省がある。現場の声を組織の「上」に直言できる風通しの良い社風を目指すのが目的だ。
初めてトップとして式に臨んだ高橋興三社長は「まだまだ安心できないが、今年は再成長の軌道に乗る年になる」と訴えた。
新入社員は94人。記録の残る昭和56年度以降で最少だった前年度(91人)と同水準だった。高橋社長はあいさつの台本を読まず会社での思い出などを30分にわたって語りかけた。高橋社長は「厳しい経営状況のシャープに人生を預けた新入社員に社長として素の姿を見せたかった」と話す。
入社式では続いて役員が新入社員と懇談したが、これも異例の試みだ。
高橋社長は就任後、矢継ぎ早に改革を打ち出した。社員に行動変革宣言を記したカードを持たせ、社員個人も変わることを求めるとともに、各自のチャレンジ精神を喚起するため人事評価制度を減点主義から加点主義に改めた。社内の意思疎通や風通しを良くするため役員の個室を廃止し経営陣らの大部屋制を導入。大部屋では社長以下役員とともに、秘書や経営企画のスタッフら約40人が机を並べて執務しているという。
1日付で新規事業や製品のマーケティングを専門の手掛ける市場開拓本部(約70人)を設置。カビなどを短時間で検知する微生物センサーなど開発はしたものの、販路や用途が確立されていない製品の売り方を打ち出す。高橋社長は「製品を消費者に届ける商品に変える。そのためには執念が必要だ」と強調した。