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待機児童解消…都市型保育所に脚光 「補助金なしで全国展開できる」
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全国の待機児童数と保育所数
都市における待機児童の解消が課題となる中、全国53施設の「都市型保育園ポポラー」などを展開するタスク・フォース(大阪市北区)のユニークな運営手法が注目されている。「預けたいときに預けられる」多彩なメニューや、縦割り保育など、保護者も子供も満足できるビジネスモデルが支持され、保育施設数、売り上げともに右肩上がりを続ける。
4月上旬、東京・表参道のエイベックス本社1階にあるポポラー東京表参道園。元気に遊ぶ17人の乳幼児のうち、5人が一時保育だった。ポポラーでは、定員に空きがあれば受け入れており、施設営業部の山脇貴子サブマネージャーは「土地柄、ショッピングや美容院、習い事などに行く母親が一時保育を利用している」と説明した。
タスク・フォースの西山悟社長は「待機児童を解消するには、母親が子供を預けたいときに預けられる保育サービスを提供できる仕組みを作ればいい」と断言する。子供を預けられないから仕事に就けないのだから、働きたい母親が求めるサービスを提供すればいいというわけだ。
ポポラーの魅力の一つは、母親の仕事や都合に合わせて用意された豊富なメニューだ。フルタイムで働く母親向けはもちろん、働く時間が不規則な人向けに希望の曜日・時間を設定できたり、自由に利用できたりするコースをそろえた。一時保育も1時間以上10分単位で対応する。夏休みや春休み限定の保育もある。都市で生活する母親のあらゆるニーズに対応できる。
また、IT(情報技術)を活用し、無駄のないスタッフ管理も特徴だ。家賃の支払いや営業費用などを含め子供1人当たりの経費は、公費により運営される認可保育所の約8倍かかるという。このコスト差を埋めるため、スタッフのリアルタイム管理システムを独自開発した。
認可保育所は開所時間中、常に国が定めた数のスタッフを置かなければならない。だが、ポポラーでは、認可外のメリットを生かし、預かる子供の数に合わせてスタッフの数を曜日別・時間別に決めている。
家賃を抑えるため、スポーツ施設と契約したり、マンション1階に施設を設けたりする。預かる子供を確保するための営業活動は、スタッフ全員で行う。
教育にも力を注ぐ。生後2カ月から10歳までの預かった子供の保育は、年齢にこだわらずに縦割りで行う。さまざまな年代の子供が一緒に過ごすことで、低年齢児は高年齢児のまねをして覚え、高年齢児は低年齢児の面倒を見ることで思いやりを知る。西山氏は「母親の就労支援だけでなく子育て支援もビジネス。しかし英才教育や右脳教育はしない。あいさつや道徳など人間教育が基本」と強調する。基礎的な身体づくりのほか、外遊びを楽しめる体験学習型のプログラムもある。
ほかにも、プリペイドシステム、クレジットカードなど、母親の利便性を考えた契約形態を導入し、保育業界の常識を覆してきた西山氏。「アウトサイダー」との指摘もある一方、共感する同業者からは「発想がすごい」と一目置かれる。「補助金なしで全国展開できるのはわれわれだけ」。こう言い切る西山氏の経営方針には、待機児童の解消を掲げる安倍晋三政権の成長戦略への一つの答えがある。(松岡健夫)