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富士フイルム、吸湿フィルムの半透明化実現 医薬品包装などで活躍
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富士フイルムが開発した「吸湿フィルム」(左)。半透明化で中身が見えることで、薬の包装などに使用可能だ 富士フイルムは20日、専用の乾燥剤を使わずに錠剤薬や菓子などを包装保管でき、内容物も確認できる独自の半透明フィルムを開発したことを明らかにした。フィルムそのものに高い吸湿能力があり、幼児などが誤って乾燥剤を飲み込む事故を防げるほか、ゴミの削減にもつながる見込み。
新開発の「吸湿フィルム」は、フィルム上に超微細な穴を無数に開け、その穴に吸湿剤を埋め込むことで包装内部の湿気を吸い取り、乾燥状態を保てるようにした。
吸湿機能を備えたフィルムはこれまでもあったが、吸湿能力や内容物を判別する透明化に課題があった。
これに対し、新フィルムは、湿気を吸い取る特性を持つ他社製の既存フィルムに比べ、2倍以上の1平方メートル当たり最大13グラムという高い吸湿能力とともに、初めて半透明化も実現した。 さらに、アルミ箔(はく)などで同フィルムを挟み込む3層構造によって、外部からの湿気も防止できるほか、吸湿が短時間で終わらないよう、吸湿速度をコントロールすることも可能という。
これにより、専用の乾燥剤を同梱しなくても、包装内の菓子などの乾燥状態を一定期間保てるほか、目で内容物を確認できることが不可欠な医薬品の包装にも応用できるようになった。
同社によると、ドイツなど欧州の一部の国では、幼児や老人の誤飲を防ぐ目的で、口に入る商品などについて乾燥剤の別途封入の規制を検討中という。今後、日本でも同様の動きが出る可能性もあり、食品や医薬品をはじめ、湿気を嫌うさまざまな商品の包装への採用を促していく方針だ。