ニュースカテゴリ:企業
情報通信
「VoLTE」に期待できるメリットとは? 消費生活アドバイザーに聞いた
更新
VoLTEに対応したNTTドコモの新機種が相次いで登場している 高速データ通信のLTEによる高音質通話が可能となるVoLTE(ボルテ=ボイス・オーバーLTE)に対応したNTTドコモの2014夏モデル新機種(スマートフォン4機種、タブレット2機種)が順次発売され、6月スタートの新料金プランを組み合わせて、よりお得でスマートなコミュニケーションが提供されることになった。6月下旬以降のソフトウエアのバージョンアップで本格的な利用が始まる前に、消費者が期待できるVoLTEのメリットや、そのメリットを最も活用できる場面について、消費生活アドバイザーの中村友宇子さんに整理してもらった。
そもそもLTEとは、高速なデータ通信を可能にする規格のことで、大容量の動画の視聴しやすくなり、アプリのダウンロードが短い時間で可能になるというメリットがある。VoLTEは、このLTEを使って音声通話を行うサービスだ。
メールのやり取りやインターネット通話と同様にパケット通信上で音声通話を行う。これまでのインターネット通話サービスと違うのは、通信事業者が接続品質を担保して提供する音声通話サービスという点だ。そのため、消費者に請求される料金はパケット通信料ではなく通話料に分類される。
6月からスタートした新料金プランで提供される「カケホーダイプラン」で、国内であれば、相手が誰でも(固定電話でも他社携帯でもOK)・何時間でも通話料は定額となる。月2700円(スマホの場合)なので、通話を頻繁に行う消費者にはお得なプランであるといえる。
インターネット通話サービスは、サービスに登録している者同士でなければ通話ができず、利用には事前の接続先設定等が必要となる。それに対して、VoLTEは従来の携帯電話と同じ着信方式なので、そうした制限はなく簡単に使える。
VoLTEは従来の通話回線より広い音域をキャッチできるため、相手の声がより鮮明に聞こえるようになるとされている。さらに、VoLTE対応機種同士であればQVGA(320×240ピクセルの解像度)に相当する高画質なビデオコール(テレビ電話)が利用できる。遠く離れて暮らす家族が電話をし合う時に利用すれば、まるですぐ傍に居るかのようなコミュニケーションができるようになるだろう。
8月にはVoLTE対応のらくらくスマートフォンが発売される予定なので、実家の親にプレゼントするのも良いかもしれない。そのほかにも、VoLTEのメリットとして、相手の電話機の呼び出し音が鳴るまでの時間が短くなることや、通話しながらでもネット検索などのデータ通信がスピーディーに利用できることが挙げられている。
VoLTEが利用できるのは、LTEエリア内のみである。エリアは今後も拡大するとのことだが、現状ではどこでも網羅しているというわけではない。ただし、エリア外であっても従来の通話回線への切り替えが自動的に行われ、通話は問題なく継続できる。LTEエリアはドコモのホームページで分かるので、気になる方は事前に確認しておくと良い。
VoLTEのメリットを最も感じられるのは、「通話を頻繁に行う人」であろう。通話はあまりせず、ネット利用が中心の消費者は従来の通話規格でも充分だと感じるかもしれないが、ドコモが他キャリアに先行して通話も高品質化を果たした意義は大きい。自分に最も適した機種や料金プランを選ぶ際にはまず、自分の生活スタイルや携帯の利用シーンを振り返ってみることが大切だ。生活スタイルに変化のあったとき(転職や結婚等)や新しい料金プランが発表されたときには、機種や料金プランの見直しを検討することをお勧めする。
ドコモの加藤薫社長は、5月14日の夏モデル新商品・新サービス発表会で日経BPコンサルティングが4月に実施したスマホ利用者のネットワークに関する満足度調査で「エリア」「通話品質」「通信品質」の3項目で総合1位だったことを強調。さらに「ネットワークは生き物で、今は通過点。今年度も引き続き強化を進めていく」と述べ、インフラ面での優位性をアピールした。
VoLTEの対応エリアはXiエリアと重なるが、市町村役場の所在地での通信の可否を基に算出する人口カバー率は2014年3月末時点で97.5%に上るという。さらにLTE基地局を15年3月末までの1年間で1.7倍に当たる9万5300局まで増やす目標を掲げている。これは現在の3G基地局に匹敵する規模という。