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【期限切れ鶏肉】マック、販売減に追い打ち 業績回復は見通せず

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【期限切れ鶏肉】マック、販売減に追い打ち 業績回復は見通せず

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会見する日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)=29日午後、東京都中央区(栗橋隆悦撮影)  かき入れ時の夏休み期間に日本マクドナルドHDを襲った期限切れ鶏肉問題。問題の工場から調達した在庫の廃棄損に加えて客離れの長期化も予想され、「下期(7~12月)に数十億円規模の損失が出てもおかしくない状況」(今村朗執行役員)へと追い込まれた。この問題を別としても、課題である売上高の減少傾向には歯止めがかかっておらず、3月就任したサラ・カサノバ社長による再建策は正念場を迎えている。

 同日発表した平成26年6月中間連結決算は、売上高が前年同期比約7%減の1210億円と当初見通しに比べて10億円未達。営業利益は約50%減の35億円、最終利益も約59%減の18億円と、それぞれ計画を下回った。

 今期はテコ入れ策としてファミリー客の重視路線にかじを切り、店舗改装や子供向けセットメニューの改良などに注力。通期の既存店売上高を0~1%増まで戻し、来年以降の再成長につなげるシナリオだった。

 1月は限定メニュー効果で半年ぶりに既存店売上高をプラスに持ち込んだが、その後は大型連休商戦やサッカーW杯関連メニューが不発で6月まで5カ月連続の前年実績割れ。上期(1~6月)通算の売上高は3.5%減、客数も同8.2%減と回復の兆しがみえていない。

 追い打ちをかけるように、ファミリー客が増える夏休み期間を前に今回の問題が発覚したことで、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「業績がさらに下ぶれする懸念は深刻さを増してきた」と指摘する。

 今後の最優先課題は、品質への信頼とイメージの回復だ。同社は原料調達先を切り替えたほか、中国製品や鶏肉製品は輸入のつど検査する態勢に改めた。とはいえ、消費者の不安が払拭され、客足の回復する時期は「正直に言って見通せない」(今村氏)という。

 ファストフードをめぐっては、客を奪い合う関係のコンビニエンスストアが店内飲食スペースの設置に力を入れ始めるなど、競争環境の厳しさが増している。今回の問題を早期に収束できなければ、マクドナルドの業績回復はさらに遠のきそうだ。(山沢義徳)

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