SankeiBiz for mobile

パナソニックが社会人野球を続ける理由…「出るだけで価値がある」

ニュースカテゴリ:企業の経営

パナソニックが社会人野球を続ける理由…「出るだけで価値がある」

更新

第40回社会人野球日本選手権準決勝で円陣を組むパナソニック野球部=10日、京セラドーム大阪 【企業スポーツと経営】パナソニック(上)

 オリンピックのワールドワイド公式パートナーでもあるパナソニックは、スポーツに対する理解が深いことに定評がある。「日本一」を目指す企業スポーツとして野球、ラグビー、バレーボールの3チームを抱える。いずれも男子のチームとして半世紀を超す伝統と実績を誇り、社員の士気高揚や一体感の醸成に貢献してきた。これらのチームの活躍は社内だけでなく、活動拠点である大阪や群馬の地域住民にも夢をもたらしており、スポーツ振興への貢献度は大きい。

 野球部活躍に勇気

 今月1日から11日まで京セラドーム大阪(大阪市西区)で熱戦が繰り広げられた社会人野球日本選手権。35回目の出場となったパナソニック野球部は準決勝で、今大会を制したトヨタ自動車にあと一歩及ばず3-4で惜しくも敗れた。

 目指してきた3回目の優勝は手にすることはできなかったが、夏の「都市対抗野球」と並ぶ二大大会の一つで、4強入りを果たした功績は大きい。トヨタ戦では先制を許してリードされたにもかかわらず、終盤に同点に追い付く粘りを見せた。

 電機メーカーをめぐる世界の競争環境は、中国や韓国企業の台頭で厳しさを増している。パナソニックも例外なく事業改革が恒久的に求められ、社員の間では閉塞(へいそく)感が漂う。こうした中、今回の野球部の活躍は見る者に勇気と希望をもたらした。

 日本選手権はパナソニックの本社がある大阪で開催され、毎試合、球場には多くの社員や関係者が応援に駆けつけた。試合が始まると、応援席は、勝利を願う横断幕とともに「パナソニックコール」で選手たちを後押し。ピンチの場面では総立ちで精いっぱいの声援を送り、敗れた後は、会社のために力を尽くした選手たちを惜しみない拍手と歓声でねぎらった。

 野球を通じて、選手や観客、関係者が一体となり「絆」を再確認できたに違いない。野球部の活動は「費用対効果」が明確なビジネスではないが、日本選手権の戦いぶりは社員の士気を高めるなどの効果を鮮明にしたのではないだろうか。

 CSR活動に貢献

 創部は1950年。会社全体で推進する企業スポーツの中では最も古い。創業者、松下幸之助氏が野球好きだったこともあって活動が始まった。もともとは職場の福利厚生の一環だったが、今では専用球場を構え、関西の名門チームとして名をはせる。

 日本代表選手だけでなく、日米のプロ球界で活躍し先日引退を表明した建山義紀選手など数多くのプロ野球選手を輩出してきた。「都市対抗野球」にも49回出場し、準優勝の経験が1回ある。同部は日本球界の活性化という重要な役割を担っている。「Panasonic」の看板を背負って試合に出場し、社内的には社員の帰属意識を高めることや、地域で野球教室を開催するなどCSR(企業の社会的責任)活動に貢献する。

 経営陣の野球部への思い入れは強い。今夏出場した都市対抗野球では、初戦となったJFE東日本戦で背番号「87」のユニホームを着た津賀一宏社長が始球式に登場。津賀社長が投げたボールは捕手まで届かずバウンドしてしまったが、それでも選手だけでなく応援席の社員や関係者らを大いに沸かせ、経営トップ自ら「一体感」を演出した。

 今年の二大大会では頂点に上り詰めることはできなかったが、企業スポーツ推進担当の福井靖知役員は「野球はチーム数が多く、実力も紙一重。出るだけでも十分に価値がある」と評価する。

 二大大会はトーナメント方式で結果を残すのが難しいといわれる。だが、北口正光・野球部副部長は「あと一歩のところで勝利がつかめないのは壁にぶつかっているから。打ち破るためには選手だけでなくコーチ陣の意識改革も不可欠だ」とさらなる強化を誓う。

 これから来季に向けチームづくりが始まる。北口副部長はここ一番の大舞台で実力を発揮できるようメンタル面の強化も図り、チーム力を底上げする考えだ。手綱を緩めることなく全国制覇へ挑み続ける野球部の姿は、常に厳しい企業間競争を強いられる社員の気持ちを奮い立たせる。(佐藤克史)

ランキング