SankeiBiz for mobile

【未年に翔ける】三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光さん(68)

ニュースカテゴリ:企業のメーカー

【未年に翔ける】三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光さん(68)

更新

 ■炭素繊維などで攻勢 ヘルスケアも拡充

 --2015年度の経営課題は

 「高値の際に仕入れた石油化学原料を使って利益を失っている状態を、正常化するのが喫緊の課題だ。中国やインドで生産する繊維原料を収益に結びつけ、世界シェアトップの(自動車のテールランプなどに使う)アクリル樹脂原料の業績をより伸ばしたい。成長戦略の中心になる先端素材の炭素繊維やディスプレー材料などは積極的に投資して攻勢をかける」

 --14年11月に持分法適用会社だった産業ガス大手、大陽日酸を連結子会社にした

 「今後、本格的に立ち上がるシェールガスを原料とする米化学プラントに対し、窒素や水素を供給できるなどグループの化学事業との相乗効果を期待している。大陽日酸が展開する半導体製造装置は、LED(発光ダイオード)事業にも活用できる。在宅医療向け酸素ボンベなど、ヘルスケア分野へも応用できる」

 --昨年4月にヘルスケア関連事業を一体運営する生命科学インスティテュートを立ち上げた

 「化学が将来役立つ分野としてヘルスケアを一つの柱としてきた。グループ内の臨床検査や予防医療の事業を統合し、医療費の拡大に対して包括的な解決策を提供することで社会貢献につなげたい。臨床検査に加え、13年には医薬品カプセル会社を買収し、自分で採血して健康状態を手軽に確認できるサービス『じぶんからだクラブ』を始めた。13年度の関連事業(医薬品を除く)の売り上げは約1250億円だが、20年度に3000億円以上を目指す」

 --炭素繊維は自動車部材で採用が広がってきた

 「欧州の自動車メーカーが(軽量化を目的に)積極的に採用している。ただ、炭素繊維のみを売るのではなく、加工して部品まで手掛けなければ利益はでない。自動車以外にも(軽量で強度が必要な)圧力容器への活用が期待できるので大陽日酸との相乗効果も見込める」

 --産業競争力会議の民間議員として政府に注文は

 「成長戦略は技術革新になお時間がかかるし、企業にも大きな役割がある。また、財政が悪化しているので17年4月の消費税率再引き上げは実施すべきだ。今年は成長戦略と財政再建を第3、第4の矢として本気で考える元年にしてほしい」

                   ◇

【プロフィル】小林喜光

 こばやし・よしみつ 東大院修了。1974年三菱化成工業(現・三菱化学)入社。科学技術研究センター社長、三菱ケミカルホールディングス取締役などを経て2007年4月から現職。15年4月に会長に就き、経済同友会代表幹事に就任する予定。山梨県出身。

ランキング