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支配強化?ネット通販の決済銀行指定に出店者反旗 アマゾンでは不買運動も
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家にいながらにして安く買い物ができるネット通販。熾烈な競争に出店者側からは悲鳴もあがる 家にいながらにして、いつでも何でも安く買えるネット通販サイト。その便利さを支える現場できしみが生じている。偽サイトによる詐欺が増え、楽天が防止策として代金を振り込む口座を楽天銀行に一本化したところ、管理の強化だと反発した出店者が公然と批判し退店。一方、海外ではアマゾンを標的にした不買運動も。周辺の疲弊を伴って成長する通販サイト運営会社への不満が底流にある。
楽器専門の通販会社、サウンドハウス(千葉県成田市)が自社のホームページに昨年12月8日付で「外部ショッピングサイト出店中止について」とする告知を掲載した。文中では名指ししていないが、取材に対し同社の高坂昌信社長は「楽天市場、アマゾン、ヤフー・ショッピング」だと認めた。
告知での通販サイト運営者への批判は辛辣だ。「出店料を徴収するだけでなく、複数の同業者を出店させることにより過度の競争を促す」「それを尻目に自ら直接販売し、さらなる収益を上げようとする」。
明らかに楽天を指すのが「出店者の銀行口座を一方的に管理し、事実上の金庫番として出店者を管理下におさめようとすることにも驚きを隠せません」という一節。昨年11月3日から代金振り込み先口座を「楽天銀行 楽天市場支店」に一本化したことを問題視した。
代金は、利用者→楽天銀行→出店者と流れる。楽天銀行に口座を持つ出店者なら翌営業日に入金されるが、他行の口座を使っている出店者の場合、入金は月2回に集約され、入金確認がこれまでより遅くなる。商品発送までの期間も長くなり、楽天の決定に沿わない店は結果的に利用者から敬遠されかねない。
楽天は、楽天銀行への一本化は「詐欺サイトなどによる犯罪行為からユーザーを保護する施策」だと強調する。楽天市場と思って買い物をしても振込先が楽天銀行でなければ、それは偽物だとすぐに分かるというわけだ。
実際、詐欺対策は急務となっている。日本通信販売協会によると、詐欺サイトに関連すると思われる相談は平成21年度は32件だったのが、24年度に1036件、25年度に3829件と急増している。
ただ、今回の一本化については「楽天銀行に預金残高増加と運用益をもたらす」と、動機をいぶかる向きもある。楽天市場の13年度の取扱高は1兆7335億円、出店者数は4万1718店(昨年9月現在)にも上るからだ。
しかし、楽天によると「クレジットカード、代引きの利用がほとんどで銀行振り込みは全体の数%」。仮に全店舗が楽天銀行に口座を開いたとしても「口座数は1%程度の増加で楽天グループの収益が大幅に増えることは見込まれない」としている。
楽天に出店すれば、顧客層は拡大し売り上げ増につながる。効率化や安全性確保のために出店者がある程度の負担を求められるのは当然ではないか。
ただ、高坂社長は、問題は銀行口座だけではないと言う。出店者の多くは過度な価格競争に追い立てられていると指摘し、「100円、200円の商品を送料無料にしたら、どうやって小さいショップが生き残ることができるのでしょうか」と訴える。
楽天市場では値引率を大きくみせるために、うその元値を併せて表示していたケースがあり、しかも複数の楽天社員が「提案」していたことが発覚した。サイト運営者側が過激な競争をあおっていたわけだ。
高坂社長は今回、同時に退店を決めたアマゾンについては「出店者からの手数料で安定的な収益を確保した上で、自社でメーカーと直接取引をして出店者を事実上排除する方向で進んでいる」と分析する。
「生活に必要な賃金を支払わず、税金をごまかし、私たちの地域の店からお金をかっさらっていく」と訴え、アマゾンでの不買を呼びかけるのは、英国を拠点にネット上で活動する「アマゾン・アノニマス」。
同団体ホームページにある「アマゾン従業員レビュー」では、物流倉庫でマネジャーにせき立てられ、わずかな休憩時間しか与えられず、棚と棚の間を長時間歩き回ることが匿名で紹介されている。「巨大な鉄の檻に入れられた奴隷のような気分だった」そうだ。
とことんまで便利さと安さを追求し、実現してきたネット通販。そこにマジックはない。