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日本郵政、豪物流大手を買収 ゆうちょ銀は株式投資拡大、上場前に成長描く
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西室泰三社長 日本郵政は18日、オーストラリアの物流最大手、トール・ホールディングスを買収すると発表した。約65億豪ドル(約6000億円)で全発行済み株式を6月上旬に取得する。日本郵政として過去最大の買収となる。日本郵政の西室泰三社長は東京都内で記者会見し、「事業を相互に補完できる最高のパートナーだ」と述べ、日本郵便の成長に不可欠な投資との認識を示した。今年秋ごろを計画している株式上場をにらみ成長戦略を加速。ネット通販の分野などで海外事業を拡大する狙いだ。
トール社は特にアジア地域での企業間物流に強みがあり、年間売上高は約8000億円。日本郵政は買収でアジアの国際的な物流網を充実させ、欧米の競合企業に対抗したい考え。傘下の日本郵便の郵便事業を含めた物流業務関連の年間売上高は約1兆7000億円で、今回の買収により約1・5倍の約2兆5000億円規模に拡大し、現在の世界8位から5位に浮上する。
郵便取扱量の減少に悩む日本郵便は成長の活路を宅配事業の拡大などに求めている。出遅れていた国際物流分野では、昨年10月に欧州物流大手ジオポストなどと業務提携し、国際宅配便に本格参入した。しかし、人件費などのコスト増を吸収しきれず、今期は260億円の最終赤字となる見通し。上場が迫る中、日本郵政にとっては郵便の収益力改善は喫緊の課題だった。
一方、西室氏は会見で、金融子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を含めたグループの収益力強化策も発表した。ゆうちょ銀行は低金利の環境で国債に偏重した資金運用の見直しが課題のため、人員などを拡充し、株式などへの投資を拡大できるようにする。就任から5年以上経過したゆうちょ銀行の井沢吉幸社長の退任も公表した。3月31日付。