SankeiBiz for mobile

シャープ、産業革新機構に出資要請へ 液晶事業の分社化検討

ニュースカテゴリ:企業の電機

シャープ、産業革新機構に出資要請へ 液晶事業の分社化検討

更新

シャープ本社=大阪市阿倍野区  経営再建中のシャープが、官民ファンドの産業革新機構に1000億円規模の出資を要請する方針を固めたことが5日、分かった。シャープは主力の液晶事業を切り離して子会社化することを検討しており、同機構からの資金を液晶子会社の設備投資などに充てる方向。シャープは再建策を含む中期経営計画を5月中に発表する予定で、作業は大詰めを迎えている。

 かつて「亀山モデル」のテレビを手掛け、中小型パネルを生産している亀山工場(三重県亀山市)などを新会社に移し、2015年度中に出資を受けたい考え。分社化でより迅速な意思決定や他社との提携がスムーズに行えるようにする。

 シャープの液晶事業の年間売上高は、約1兆円と連結売上高の3分の1を占めるが、製品の価格変動や技術の進展が急で、業績を大きく左右してきた。

 15年3月期は、太陽電池やテレビ事業の不振に加え、液晶事業の利益が当初の見込みを大幅に下回るため、連結最終損益は1000億円規模の赤字(14年3月期は115億円の黒字)に転落する見通し。

 シャープは液晶事業の切り離しと同機構の出資で経営の安定化を図れるとみている。

 ただ、同機構は日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合したジャパンディスプレイ(JDI)にも出資しており、同社とシャープ液晶会社がグループになれば、国によっては独占禁止法に抵触する可能性がある。

 また、同機構の目的は企業再生ではなく成長産業の支援にあり、シャープの財務基盤が健全であることが出資の前提となる。

 シャープ主力取引行の三菱東京UFJ銀行と、みずほ銀行は計2000億円程度の資本支援を検討。シャープの堺工場(堺市)を共同運営する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業も1000億円超の出資の意向を示している。シャープは、こうした状況も踏まえ再建策をまとめる。

【用語解説】産業革新機構

 国内産業の競争力を強化するため、2009年に15年間の期限付きで設立された官民ファンド。成長が見込めるベンチャー企業のほか、大企業の優れた技術を生かすための事業再編なども支援の対象となる。中小型液晶パネルのジャパンディスプレイや、半導体のルネサスエレクトロニクスなどに出資。役員派遣などを通じて経営にも関わっている。

ランキング