【郵政上場前夜 巨大企業の行方】(中)金融各社「共存か抵抗か」
更新◆不公正な競争条件
「地域金融機関の預金や顧客基盤が流出する」「不公正な競争条件のもとで、預入限度額の引き上げは許されない」
提言後に開かれた全国銀行協会の記者会見。普段は冷静な佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)が珍しく気色ばんで、矢継ぎ早に不満をぶちまけた。
国民の多くは上場後も政府の出資が残る金融2社を「つぶれない金融機関」とみなしているため、限度額が引き上げられれば顧客を奪われかねない。ゆうちょ銀の貯金残高が、メガバンク最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループの預金残高(153兆円)をしのぐ177兆円に達していることも不安の種だ。
佐藤会長は15日の会見でも「限度額引き上げには反対の立場を貫く。現段階で全面的に協調できるわけではない」との考えを示した。
「郵便局です。ごあいさつにまいりました」
地方の高齢者宅。大手生命保険の元営業担当者は、かんぽ生命が誇示する「郵便局ブランド」の威光に驚いた経験がある。大手生保には見向きもしなかった高齢者が、かんぽ生命の営業担当者を自宅に招き入れたのだ。「“親方日の丸”にはかなわない」と舌を巻いた。
政府による「暗黙の保証」を信じ、かんぽ生命に絶大な信頼を寄せる地方の高齢者は多い。金融機関が郵便局だけという自治体も全国に24ある。そんな地域の住民にとって、ゆうちょ銀とかんぽ生命の限度額引き上げは大歓迎だ。
だが、全国に約2万4000ある郵便局ネットワークは生保各社には驚異だ。日本生命保険による三井生命保険の買収劇は、かんぽ生命の株式上場がきっかけとみられ、生保再編の火種は残る。
