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シェアハウス問題、「人手不足」破綻… 2018年の経営問題ニュースを振り返る(前編)

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 「後継者難」型が7割超を占め、事業承継の問題も浮き彫りにしている。また、「求人難」型の増加も目立った。産業別では、最多がサービス業他の90件(前年同期比42.8%増)、次いで建設業の64件(同1.5%減)と、労働集約型の産業が突出している。

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 業績改善が進んだ企業と遅れている企業の二極化が拡大している。小・零細企業は省力化投資の資金余裕もなく格差がさらに拡大する悪循環に陥っている。

 政府は深刻な人手不足から外国人労働者の受け入れ策に乗り出し、 新たな在留資格を創設した「出入国管理法改正案」を国会に提出した。ただ、法案が成立しても新制度導入は早くて来年4月以降で、当面の間は人手不足の解消は難しく、「人手不足」関連倒産はしばらく増勢をたどる可能性が高い。

◆「個人消費」関連業種で苦境、迫りくる増税

 内閣府が11月14日発表した2018年7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、2期ぶりにマイナスに転じた。台風など相次ぐ自然災害の影響が、生産や消費を押し下げた。2018年1~10月の倒産は、10産業のうち、「小売業」と「サービス業他」の個人消費関連の2産業が前年同期を上回った。倒産は次第に川下産業から川上産業に遡り、2018年は卸売業も増加に転じるか微妙な状況だ。

 2018年1~10月の「小売業」倒産は961件(前年同期比4.6%増)。リーマン・ショックの2008年(1842件)以来、10年ぶりに前年を上回る可能性が高くなった。増加が目立つ業種は、「スーパー」が前年同期比58.8%増(17→27件)。このほか、ネット通販が拡大しているが、「通信販売・訪問販売小売」も同33.3%増(42→56件)と増えている。2009年以降では過去最多の2015年(77件)に迫る勢いだ。

 来年10月、消費税率が10%に引き上げが予定されている。京都大学が実施した「消費増税の心理実験」の分析結果によると、消費税率10%へのアップは、単に2%の増税にとどまらず、消費者の心理的な「消費縮減効果」に拍車がかかることが示された。これは従来の消費税率5%や8%の場合は、消費税の計算が面倒くさく、「消費税分を十分に考えず」に買い物をしていた人が多かった。

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