試乗スケッチ

レース活動からEV開発へ軸足 ボルボの「ポールスター」を知ってる?

木下隆之
木下隆之

 だが、なぜ躍動感を意識できたかは、そのトルク特性にある。ピークの出力は3psしか違いがなくても、ハーフスロットルでのミドルレンジトルクは350Nmから400Nmに高まっているのだ。アクセルペダルを床まで踏みこみ、エンジンに鞭を打って走らせれば3psの違いでしかないのだが、床踏みせずユルユルと加速させるとグイグイと来る。アクセル全開ではなく、ハーフスロットルで力強い。それが「Polestar Engineered」の個性なのだ。

 ちなみに、「Polestar Engineered」は新車購入時だけでなく、新車納車後に取り入れる事も可能だ。数年ドライブして、そろそろ別の走り味が欲しい…。そんなときからでも設定可能なのだ。いわばアップデートである。ディーラーでの作業時間は約10分。18.8万円の追加投資ですむという。

 かつてのレース部門がEV戦略に組み込まれるのはどこか淋しくもある。華やかな最前線で活躍してほしいとも思う。だが、レースで培った高度な技術が、これからのEV戦略に必要とされる事もまたどこか嬉しくもあるのだ。

 「Polestar Engineered」となって光り輝く計器内のロゴをながめながら、かつての「Polestar Racing」の活躍に思いをはせた。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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