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ブロックチェーンが描くアーティストと買い手の未来図 武田双雲もNFT参入

SankeiBiz編集部
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 スマートコントラクトは、仮想通貨のやり取りに独自のルールを追加できるのが特徴だ。例えば、落札者がNFT作品を他の人に有償で譲渡する場合、手数料の一部を出品者が受け取れるようにすることもできる。実物の美術品が資産として扱われ、人から人へと転売が繰り返されてもアーティストに金銭的な還元がない、というケースとは大きな違いだ。

 武田さんの2作品にも同様のルールが設定されており、出品者がOpenSeaで作品を販売するときに支払う10%の手数料のうち、OpenSeaが2.5%、武田さんとdouble jump.tokyo側が7.5%を受け取る取り決めになっているという。

 松谷さんは、武田さんの作品が資産運用に使われるのは本意ではないと前置きした上で「NFT作品の価値を通じて、売り手と買い手の関係が運命共同体になっていきます」と説明。アーティストが二次流通取引時のインセンティブを得て、作品購入者がインフルエンサーとなってNFTアートの価値をさらに高める好循環が広がってほしいとの願いを込める。

 一方、新しい売買に世間の理解が追いついていないのも事実だ。武田さんの例では「書の高解像度デジタルデータの所有権」が落札の対象であり、原本の書や著作権などは含まれない。NFTのブーム拡大には、買い手側が仕組みそのものをしっかり把握することが必要になる。

 米電気自動車(EV)大手、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がテクノ調の曲を販売すると予告して撤回、現代美術家の村上隆さんがOpenSeaでの出品を取り下げるなどの混乱も起きている。

 村上さんは4月、「NFTの長所を生かし、コレクター/オーナーの皆様の利便性、作品所有の満足度や安心感を最大化する」ための議論を重ねて再挑戦したいとInstagramで説明しており、売り手側の体制もまだ万全ではない様子がうかがえる。

 アカウントの初期設定や、購入の際に発生する手数料(通称「ガス代」)の高騰が新規参入を阻む恐れも指摘されている。ガス代も仮想通貨で支払われることから、イーサリアムの価値が上がれば、それだけガス代が高額になるためだ。

 現状では、OpenSeaで売買を行うための初期設定をするには1万数千円程度のガス代がかかるとされており、お試しでオークションに参加するにはハードルが高いと言えそうだ。

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