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【第23回地球環境大賞】(4-1)COP19閉幕

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【第23回地球環境大賞】(4-1)COP19閉幕

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 ■「優れた環境技術で世界に貢献」アピール

 ポーランドの首都ワルシャワで開かれていた国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)は、2020年以降の温室効果ガス排出削減の国際枠組みづくりで、15年3月末までの早期に各国が自主的な目標や取り組みを提示することなどで合意し、23日閉幕した。今回の会議で、日本は20年までの温室効果ガスの排出量を05年比で3.8%削減する新たな目標を表明する一方、途上国への資金支援を柱とした「攻めの地球温暖化外交戦略」で温暖化対策における存在感をアピールしたが、新たな削減目標は“暫定値”との位置づけで、来年末にペルーで開かれるCOP20に向けて課題を残す結果となった。(三塚聖平)

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 ■新たな削減目標「3.8%減」に理解を求める

 「低い値に見えるかもしれないが、既に世界最高水準にあるエネルギー効率を20%も改善する野心的な目標だ」

 11月20日、COP19の閣僚級会合で演説した石原伸晃環境相は、各国の代表に「3.8%減」という新たな削減目標への理解を求めた。

 新目標は、09年に民主党の鳩山由紀夫首相(当時)が掲げた「20年までに1990年比で25%減」との目標を見直したものだ。この目標は、発電時に温室効果ガスを排出しない原子力発電所の増設が前提で、2011年の東京電力福島第1原発事故後に達成が絶望的になったため、安倍晋三首相が今年1月に「(COP19までに)ゼロベースで見直す」と関係閣僚に指示していた。

 新目標の策定にあたっては、原発の稼働をゼロと仮定したため、従来の基準年である1990年比だと3.1%増になった。そのため、欧州連合(EU)が「深刻な削減目標引き下げに遺憾の意を表明する」との公式声明を発表するなど日本批判が相次いだ。

 日本の交渉関係者は「震災後にエネルギー政策が定まらない中で、今回の目標は今できる精いっぱいのもの。各国の批判は想定内で、これまでの温室効果ガス削減の実績や、新たな途上国支援などによって存在感を示すしかない」と述べた。

 COP19で、日本が世界的な温室効果ガス削減への貢献策として表明したのが「攻めの地球温暖化外交戦略」だ。

 「Actions for Cool Earth(美しい星への行動)」をうたった同戦略は、2050年までの世界全体の温室効果ガスの排出量半減、先進国全体で80%削減を目指すとの目標を掲げ、その実現に向けた具体策を記した。

 柱となるのは途上国への資金・技術支援だ。13~15年の3年間で官民合わせて計160億ドル(約1兆6000億円)を途上国向けに拠出すると明記。技術支援では途上国に環境技術を提供する見返りに、二酸化炭素(CO2)の排出削減分を日本側に算入する「2国間クレジット制度」を推進し、現在は8カ国の制度参加国を3年で倍増させることを掲げた。また、環境関連の技術開発の推進に向け、今後5年間で官民合わせて1100億ドル(約11兆円)の国内投資を行うことも盛り込んだ。

 石原環境相はCOP19の会場で「日本の優れた環境技術で世界のCO2削減に貢献したい」と強調した。

 COP19を終え、既に日本政府は“次”に向けて動き出している。石原環境相はCOP19の演説で「エネルギー政策の検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標を設定する」と発言。年明け以降、原発の再稼働など削減目標の前提となるエネルギー政策がある程度明らかになった時点で、目標の引き上げ検討を本格化させることを念頭に置いた発言とみられる。

 来年9月には国連の潘基文事務総長主催の地球温暖化問題に関する首脳会議が開かれる予定で、政府関係者は「原発の稼働状況も踏まえ、より野心的な目標を示す必要がある」と指摘した。ただ、安易な目標引き上げは回復傾向にある日本経済の足を引っ張るとの指摘もあり、今後の検討には曲折が予想される。

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