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理研、信頼性に打撃 小保方氏、博士論文で流用か STAP調査対応後手、結論先送り
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理研の小保方晴子・研究ユニットリーダーらが英科学誌ネイチャーに発表した「STAP細胞」の論文に掲載された画像 理化学研究所などが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文の信頼性が揺らいでいる。不自然な画像などが相次ぎ見つかったことに加え、筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーが早稲田大に提出した平成23年の博士論文で大量の流用疑惑が浮上し、理研にとっても大きなダメージとなった。
約100ページある博士論文のうち、研究背景を説明する冒頭約20ページの文章が米国立衛生研究所(NIH)のホームページ上にある幹細胞の基礎知識の解説文とほぼ同じだった。該当部分に引用の記載はなかった。
理研はSTAP論文の調査の中間報告を14日に公表するが、不正の有無についての核心部分は先送りされる見込みだ。
論文では別の実験結果を示す胎盤の画像2枚が酷似することなどが指摘されてきたが、10日になって、研究の根幹に関わる画像4枚が小保方氏の博士論文の画像に酷似することが新たに判明。理研はこれを「重大に受け止める」として、論文撤回の検討に入った。
胎盤の画像について共著者は当初「小保方氏の単純ミス」とみていた。だが、博士論文と同じ画像が掲載されていた場合、単純ミスとは考えにくくなる。
しかし、この重要問題は中間報告には間に合わず、今後の追加調査の対象になる見込み。論文は2月以降、外部からの指摘で疑問点が続出しており、対応が後手に回っている形だ。
理研はこれまで、STAP細胞を作製した研究成果そのものは「揺るぎない」としてきた。だが博士論文の画像の流用疑惑が明らかになると、「成果は事実とプロセス(過程)が大事。プロセスに疑念が指摘された」とトーンダウン。成果の信頼性も揺らぎつつあることを事実上、認めた。
理研は2月18日に調査委員会を設置。委員長ら理研側2人、弁護士を含む外部有識者3人の計5人で構成され、小保方氏らへの聞き取りや実験ノートの確認などを行っている。
調査委はSTAP細胞の再現性については評価せず、「科学者の世界での証明」に委ねる構えだ。小保方氏は一連の疑問点が指摘された後も、研究室で再現実験を続けているという。
理研のガイドラインでは、不正の疑義が生じた研究者に対し、証拠保全のため出勤停止や研究室の一時閉鎖を行うことができる。こうした措置を取っていないことについて、理研は「再現実験の手順書作成や調査への対応のため。証拠隠滅の可能性もないと判断した」としている。
一方、調査開始から約1カ月が経過しても核心が明らかにされない現状に、学界からは批判が強まっている。日本分子生物学会は「論文は多くの科学者の疑念を招いている」として、実験のすべての生データの即時開示を求める異例の声明を出した。
同学会理事長の大隅典子東北大教授は「博士論文に酷似する画像はどう見ても使い回しにしか見えない。このままでは、生命科学全体が疑われかねない」と懸念を示した。