--日本の海洋エネルギーのポテンシャルはどれほどなのか
「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると潜在資源量は波力発電で年間870億キロワット時、温度差発電で1560億キロワット時としており、原発100基から200基分に相当する。ただ、波力発電や温度差発電の適地は電力需要地から遠い。また、潮流(黒潮)発電は四国沖や鹿児島沖、潮汐発電は津軽海峡や瀬戸内海が有力だが、いずれも現時点で経済性が問題で、漁業者などとの調整も必要となる」
--それぞれの方式のコストはどうか
「温度差発電は5000キロワットの発電出力だと1キロワット時当たり40円超と高いが、1万キロワットなら10円と採算ラインに乗る。波力は40円にめどをつける状況だ。潮流・海流は場所への依存性が高く、明石海峡なら10円台と波力より可能性は高いが、漁業や往来する船舶との関係から実現は難しいだろう。海流発電は鹿児島沖で実証実験を行ってからの議論になるが、10円台になり固定価格買い取り制度の対象となるのはそう遠くないと思う」
--日本の海洋エネルギー開発はどう進めるべきか
「当面は浮体式洋上風力だが、海洋開発には経験が必要であるため、5年後には潮流や海流、その後は波力とステップを踏んで進めていくべきだ。世界の動きは、潮流・海流発電に向かっている。台湾やインドネシアなども海洋エネルギーに関心を示し、日本に協力を求めている。日本の技術を生かしながら、アジアと協力して開発を進めることが重要だ」
--1月には木下教授が会長を務める海洋エネルギー資源利用推進機構が、政府に「海洋再生エネルギー産業国家戦略特区」を提案した
「日本は海洋国家としてのポテンシャルを生かすため海洋エネルギーの活用が不可欠だが、欧州に比べて開発拠点港がないなど遅れている。そこで、われわれは拠点港の整備にとどまらず、商用フィールドの指定や特殊船の開発・運用などを提言した。欧州と同じ環境で開発すれば、負けないだけの技術力を日本は持っている。何より、成長戦略の中に再生可能エネルギーを入れることの意味は大きく、ぜひ今国会で議論していただきたいと思う」