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科学技術
山中教授、一部データ散逸で陳謝 過去の論文、ネット上で疑義の指摘
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厳しい表情で記者会見に臨む山中伸弥京都大教授=28日午後、京都市左京区 京都大iPS細胞研究所は28日、所長の山中伸弥教授が平成12年に発表した論文に疑義があるとの外部指摘を受け、山中教授自身からの申し出を受けて調査を行った結果、論文の報告内容には問題がないとする見解をまとめ、公表した。
山中教授は同日、同研究所(京都市左京区)で会見し、15年前にまとめた論文の生データの一部が見当たらなくなっていることを明らかにし、「研究結果には自信を持っている」としながらも「日本の科学者の見本とならねばならない立場であることは十分理解している。その中で過去のこのような論文に使っている生データが自分の資料から発見できないことは、研究者として、心から反省している」と陳謝した。
問題の論文は、山中教授が12年に「EMBOジャーナル」に発表したもので、ES細胞の分化において重要な役割を果たす「NAT1」という遺伝子の機能を解析した論文。
この論文で使用された2つのNAT1細胞の画像が類似している▽使用されたデータの数値が似通っている-の2点について平成25年夏ごろから、日本のインターネットサイト上で指摘されていたという。
山中教授は、「論文の研究結果は複数の研究者により再現されており、研究者倫理の観点から適切でないことをした記憶もない」と説明した。
この日の会見には調査の責任者でもある、同研究所の森沢真輔副所長と山中教授が出席。森沢副所長は、この実験は山中教授が複数の協力者とともに10年ごろに実施したもので、画像、データのいずれも山中教授の実験ノートに、実験データが存在していると説明。
一方で、山中教授以外の協力者の実験ノートが存在しなかったことや、図、データのいずれも元となるデータが存在していなかったことについては「遺憾」とした。
同研究所では、報告内容に問題がないことなどから、追加調査の必要はないと判断した。