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【川内原発再稼働へ】火山、入念な監視評価 審査書案、最先端の知見集約
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九州電力の川内原発。手前から1号機、2号機=8日、鹿児島県薩摩川内市 原子力規制委員会が16日に了承した九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の審査書案には、原発の安全性を判断する上での最先端の知見が詰まっており、今後の審査における“合格証”のモデルともなるものだ。自然災害だけでなく、サイバーテロなど新しい事象に対しても網羅的に評価を下しているのが特徴だ。(原子力取材班)
規制委は川内原発の対策が新規制基準に適合するかの審査会合を62回開き、110時間審議した。この中で最も重視されたのが、地震や津波に対し有効な対策が取られているかだった。
審査書案には「(九電が行った)原発周辺の将来活動する可能性のある断層(活断層)等の調査について、十分に適切な判断ができるよう調査情報の充実を求めた」と規制委の指摘を記載。その上で事業者が調査を拡充させた経緯が記されている。
特に基準地震動(想定される最大の揺れ)の確定では審査会合で、九電と規制委との見解が大きく食い違った。しかし2度の修正を経て620ガルに決めた九電の見解を、審査書案では「最新の科学的・技術的知見を踏まえ、新基準に適合している」と評価した。
津波に対しても、防潮堤の設置や浸水防止がいかになされているかデータ分析をした上で、「国内のみならず世界で起きた大規模な津波事例を踏まえ、不確かさを考慮して行われている」との見解を示した。
問題は火山対策だった。現在の審査申請原発のうち、川内原発は火山の噴火で最もリスクの高い原発と懸念されていたからだ。
審査会合の中で九電は、川内から約50キロ離れた桜島など、敷地から半径160キロにある39カ所の火山が噴火するかどうかの想定データを提示した。巨大噴火は1万年に1回程度と頻度は極度に低いが、火山が噴火すれば原発周囲に火山灰が積もり、火砕流で送電線や注水ポンプなどに影響が出る可能性が考慮された。
規制委は新基準とは別に火山影響を評価するガイドを作成、必要な地点に地殻変動の監視のため衛星利用測位システム(GPS)を置くように九電に要請した。審査書案では「設計対応不可能な火山事象が過去に敷地に到達したことが否定できない火山を監視対象として抽出し、その監視方法などを確認した」として、監視の重要性を指摘した。
新基準のテロ対策では、原子炉建屋に故意に航空機が突っ込んできても耐えられる構造を要求する。審査書案では、放水砲を用いた消火の手順や現場へのアクセスも確認し、「設備などが同時に機能喪失しないよう十分な配慮を行うなど、適切なものと判断した」と記した。
サイバーテロも審査項目に入れた。「情報システムに対する外部からのアクセスを遮断する設計とする」という九電の申請を、審査書案では「核物質防護対策として確認した」とし、新基準への適合を強調した。