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炎上“寸止め”確信犯?… 広がる企業の「ゆる系」ツイッター

ニュースカテゴリ:社会の話題

炎上“寸止め”確信犯?… 広がる企業の「ゆる系」ツイッター

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顔文字や、文字を組み合わせて絵を作る「アスキーアート」を使った、企業の公式アカウントのつぶやき。ゆるやかな文体が消費者の人気を博している  インターネットの投稿サイト「ツイッター」で、文字を組み合わせて絵を作るアスキーアートや顔文字を使った企業の“ゆる系”のつぶやきがPR手法として広がっている。移り変わりの激しいネット上の流行語を敏感にとらえて、一ひねりした発言が特徴で、ネット利用者への宣伝効果は上々だ。ただ、些細(ささい)な一言が思わぬ反感を招くケースもあり、担当者の裁量任せで、会社の決済を経ない「世界への発信」のあり方に試行錯誤が続いている。

 「はてなさんに出していただいたお茶です。一部の方には大事なことなので、もう一度言いますね」

 6月、シャープの公式アカウントの担当者が、インターネット関連会社「はてな」(京都市)を訪問した際に投稿したつぶやきが物議を醸した。

 お茶の写真を添えたつぶやきで、過去に「もしドラ」こと「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの〈マネジメント〉を読んだら」のベストセラーで知られる岩崎夏海さんが「はてな社」を訪ねたときにお茶が出なかったとして批判的な投稿をしたことを揶揄したともとれる内容。岩崎さんがシャープに抗議したことで大きな反響を呼んだ。

 岩崎さんは「堅苦しいものが良いわけではないが、特定の個人をバカにするようなツイートはいかがなものか」と苦言を呈する。

 結局、「炎上」には至らなかったが、シャープの関係者は「仮にツイッターが炎上した場合、火消しは別の部署がやることになる」と説明している。組織的なチェック機能がなく、個人的な感想や思いつきも目立つ投稿の思わぬ反響の大きさに困惑を隠さない。

 シャープの公式アカウント設置は平成23年5月で、販売促進部門の社員が1人で運営している。くだけた文体と機転の利いたコメントが人気を呼び、ツイートを閲覧するフォロワーは15万人。PR手法が評価され、担当者は5月に広告会社などでつくる大阪コピーライターズ・クラブ(OCC)の「OCC最高新人賞」を受賞している。

 今回問題となったはてな社への訪問は、シャープが発売したお茶メーカー「お茶プレッソ」と、はてなのニュースサービス「プレッソ」の発表日が同じ3月27日だったことからツイッター上で両社のやりとりが生まれ、互いに製品をPRする目的で行われた。

 ツイッターのタイアップが功を奏したのか、地道な活動による知名度の向上もあって、お茶プレッソは9月末までに、当初予想の4倍となる11万台を販売する見通しだ。ただ、社内で今回のPR手法への受け止め方に温度差があり、模索が続いている。

 会社の決済を受けることなく、つぶやくスピード感がツイッターによるPRの魅力だ。グリコは昨年11月11日、同日を「ポッキー&プリッツの日」として「ポッキー」を含むつぶやきの数で世界記録を挑戦。担当者は各方面に働きかけ、総ツイート数は371万44ツイートを記録した。

 フォロワーが65万人を超えるNHKの公式アカウント「NHK-PR」は他局で放送されているテレビ番組もつぶやきのネタに取り入れるなど、柔軟性が高い運用で知られる。一方、昨年2月には「ヘイトスピーチ」と呼ばれる人種差別的な発言をする人を「ネット弁慶」と称し、抗議が相次いだケースもある。

 企業広報・危機管理コンサルティングのエイレックス(東京都)の江良俊郎社長は「話題になるのは大切だが、人に不快な思いをさせることは避ける必要がある。CM同様に、いい印象を持ってもらうことを軸に発信することが大切だ」と指摘する。

 宣伝効果が大きい半面、チェック機能の欠如からトラブルを招くことも少なくなく、運用には注意を払う必要がありそうだ。(織田淳嗣)

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