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「はやぶさ2」打ち上げ中継で大人気…「萌える声」正体は東大院卒のリケジョ
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「はやぶさ2」の打ち上げ中継の声が「かわいい」と評判になったJAXA職員の嶋根愛理さん(JAXA提供) 2度の打ち上げ延期をへて12月3日に宇宙へと旅立った小惑星探査機「はやぶさ2」。日本中がかたずをのんで見守った打ち上げで、注目を集めた女性がいる。インターネットサイトでの中継動画のMC(司会)を担当した宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員の嶋根愛理(えり)さん(31)だ。その声にネット上では「かわいい」「癒やされる」と絶賛する書き込みが殺到した嶋根さんが、産経新聞の取材にも「かわいすぎる」声で応じた。
話題の中継は「はやぶさ2」の打ち上げ予定時刻から約1時間前の3日午後0時25分に開始。鹿児島県の種子島宇宙センターにあるスタジオから、はやぶさ2の役割や現地の気象情報、視聴者からの応援メッセージなどを紹介した。
嶋根さんの姿が映ることはなかったが、特徴的な高い声と専門用語を交えながらゆっくりと語りかける語り口に、動画を配信した「ニコニコ生中継」の視聴者から「かわいい」「萌える声」などの書き込みが殺到。ツイッターでも「お姉さんの声かわいい」などのつぶやきが相次いだ。
ネット上では「声優かと思った」などの声も上がったが、嶋根さんはれっきとしたJAXA職員。これまでも打ち上げ中継は若手職員が担当しており、嶋根さんも宇宙輸送系要素技術開発センターに所属し、ロケットの位置や姿勢を知るためのセンサーの開発を担当しているという。
「生中継の休憩中に動画が話題と聞いたときは『はやぶさは人気なんだな』と思っていましたが、終了後に私の声に対する反響と知って驚きました」
種子島出張を終えた12月5日、嶋根さんが産経新聞の電話取材でこう話した。受話器からは、中継と同じ高音のかわいい声が響いてきたが、自身は「声が高くて子供っぽく聞こえるのがコンプレックス。(ネットでの評価は)複雑な気持ちです」と苦笑する。
今回の中継でも「大人っぽくかっこいい伝え方も考えた」といい、リハーサルでは声のトーンを変えた“実験”も行ったが、本番はあえて地声で挑んだ。
「はやぶさ2は、気象衛星などに比べて小惑星まで到達する方法など技術的に難しい説明も多い。声のトーンを気にしていると伝えることに集中できないと思いました」
さらに、本番では言葉を区切ってゆっくりと伝えることを心がけた。「はやぶさ2は小さな子供にも人気が高いので、一緒に聞いたお母さんが説明できるよう、声だけで文字が思い浮かぶよう工夫した」結果だという。
嶋根さんは東京理科大学4年のときに派遣されたJAXA相模原キャンパスで、宇宙開発に興味を持った。進学した東大大学院でも宇宙工学に関する分野を学んだ筋金入りの“リケジョ”だ。JAXAに就職し、最初の3年間は種子島宇宙センターで管制官として働いた。
打ち上げたロケットを追尾するため、各地の基地局へ指示を出す仕事。「相手の顔が見えない状況で、正しく指示を出して状況を把握する経験」が今回の中継でも役立ったという。
一方、管制官として数々の打ち上げを経験したからこその“失敗”もあった。はやぶさ2の打ち上げ終了後、スタジオに戻った嶋根さんは「そこそこきれいな打ち上げ」と発言。視聴者からは「そこそこなのねw」などのツッコミが相次いだ。
「打ち上げ直後に雲の中に隠れてしまい、機体がどこにいるか分からなくなる場合もある。今回は雲に隠れて機体が見えたり、見えなかったりしたので『そこそこきれい』と思った」
嶋根さんは発言の真意を説明し、こう話した。「天候の影響についても説明すればよかったですね」
思わぬ形で「はやぶさ2」の人気を後押しすることになった嶋根さんは「これを機にというのも恐縮ですが、JAXAの事業やはやぶさの状況に関心を持って、広報イベントなどに足を運んでもらうきっかけになればうれしい」と話す。
JAXAが各地で開催する広報イベントでは、嶋根さんも講師やMCとして参加することもあるといい、生で「かわいい声」を聞ける機会もありそうだ。