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解体寸前を使い街に付加価値 今年も神田で空きビル美術展
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都市の空きビルなどを展示スペースに使った展覧会「トランスアーツトーキョー2013」が、JR神田駅周辺(東京都千代田区)のオフィス街で開かれている。
東京都足立区に移転した旧東京電機大7号館地下では、映画監督、ファッションデザイナー、画家らが集結。テレビモニターからは日常的な光景を穏やかに描写した映画監督、石川寛のCM作品などの映像が流れる。
壁面の一画に張られたベニヤ板には、アートディレクターの佐藤直樹が木炭で植物の絵を描いている。樹木は暗い地下から明るい地上を目指すように成長し、生命感あふれる。作品はまだ制作途上で、ライブペインティングを行い展覧会の会期中に完成させるという。デザイナーの山縣良和は宇宙船のようなオブジェを制作。コンクリートがむきだしの空間で、映像と絵画などが混在し、カオスのような状態だ。
近接した別の雑居ビルでも展示が行われている。青山ごはん亭跡ビルの1室には、美術家、村山修二郎が植物の汁を使ってキャンバスに草の絵を描いた作品がある。神田周辺で集めた雑草や木々の葉を使ったという。また、共同ビルでは東京芸大大学院の学生らによるビデオやインスタレーションの発表。さらに解体途中のビルの仮囲いにはアーティストによるドローイングが施されるなどして、街の一帯が祭りのように盛り上がっている。
この展覧会は昨年初めて開催された。移転で取り壊される前の旧東京電機大学の校舎1棟をまるごと展示空間として利用し、1カ月あまりで1万人以上の来場者を集めた。
今年の展示場所は複数棟に拡大。ビルは、再開発のため展示が終わると取り壊され、新しい建物に生まれ変わるという。同展の統括ディレクターで東京芸大の中村政人准教授は「解体寸前だったビルにクリエイターが介入することで、建物の価値が再生する。アートによる文化活動が起これば街に付加価値を与えることになる」と、展覧会の意義を語る。
新陳代謝を繰り返す都市の盲点のような場と時間を利用したアイデアのある企画といえるだろう。(渋沢和彦)
11月10日まで。入場料800円(期間中何度でも入場できるパスポート制)。WATERRAS(神田淡路町)、アーツ千代田3331(外神田)でも展示が行われている。問い合わせはコマンドN(電)03・3518・9101。