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「凪の片」須田一政さん個展 なんだか変…だよね

ニュースカテゴリ:暮らしの余暇

「凪の片」須田一政さん個展 なんだか変…だよね

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 ありふれた日常風景なのに、なにかがズレているような、不協和音が聞こえてくるような…。独自の視点で街や人を切り取る写真家、須田一政(すだ・いっせい)さん(73)の個展「凪(なぎ)の片(ひら)」が東京都目黒区の東京都写真美術館で開かれている。初期の作品や代表作、近作までを一覧できる回顧展。須田さんは「変だ、おかしいって思われたい」と飄々(ひょうひょう)と語る。(篠原知存)

 「自分の中で自己評価がありますよね。『いいのが撮れた』っていう。自分が感じたものがあるわけだから、見た人が、同じようにではなくても『これ、変だね』とか思ってくれるとうれしいよね」

 展示は代表作「風姿花伝」から。ロープと木の枝に絡まったヤギ、古びた布に覆われた鏡台、祭りの一場面、白塗りの顔面、和服姿の少女…。特定の文脈は読み取れない。ただ一枚一枚が強烈に目をひきつける。何も言われていないのに「うん」とうなずいてしまいそうな。眺めていると、どこか落ち着かない気持ちになっていく。

 「須田って変な風景ばっかり撮ってるけど、きっとこれは風景がおかしいんじゃなくって、須田がおかしいんだよって、そう思われたい(笑)。そういうのが僕は好きなんです。好きというか、写真やってるものとして誉れだと思うんです」

 須田さんは東京・神田生まれ。東京綜合写真専門学校を卒業後、寺山修司が主宰した劇団「天井桟敷」の専属カメラマンを経てフリーに。独特の作品は、よく「異空間」や「異界」という言葉を冠して語られる。見慣れたはずのものが、異物のように感じられる瞬間を写真として定着させる。そんな作家はシャッターチャンスも独特だ。

 「僕は“決まり”っていうのが面白いと思わない。考えながらシャッター押してるわけじゃないんだけれど、そういうものに反応できなくなっちゃってる。ずれたところが決まり、と僕は思ってるらしい(笑)。撮れたって思うのはそういう時だし」

 変拍子のようなものなのかもしれない。すぐには“ああ、なるほど”という了解が成立しないから、見る側は写真の前で立ち止まり、あれやこれやと思いをめぐらせてしまう。

 須田さんは、自作について「わからないって言われちゃうと寂しい」と言いつつ、こんなふうにも話す。

 「写真評論などで、須田はこういう狙いで撮ってるとか言われると、違うところにいきたいっていう反作用が出てくる。だったら今度は…って(笑)。別の方法論がどんどんわいてくるわけじゃないけれどね」

 試行錯誤しながら、ほぼ毎日のように撮影を続ける。最新作「凪の片」シリーズは、ほとんどが初公開だ。

 「撮ったのは僕なんだけれど、写真の中からその人独自のイメージっていうか、フォトストーリーっていうか、そういうものを紡いでもらいたい。僕が感じたものからまた独自の物語をつないでいってほしい」

 12月1日まで、月曜休み(11月4日は営業し、翌5日休み)、一般600円。東京都目黒区三田1の13の3、東京都写真美術館((電)03・3280・0099)。

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