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「和食」に関心! 手作りお節、飾り切りで美しく盛り付け
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「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、伝統的な食文化の伝承に関心が高まっている。和食の特色の一つは自然を表現した美しい盛り付けにある。手作りお節を美しく彩る飾り切りのコツを、家庭料理を教えるベターホーム協会(東京都渋谷区)に聞いた。(村島有紀)
「お節料理を作るときは、食べさせたいと思う人を思い出しながら作るといいですよ。全部は無理でも、せめて一品ぐらいは手作りしましょうね」と話すのは、同協会の料理教室で講師を務める今井由美子さん(61)。
同協会では12月、手作りのお節料理の教室を全国各地で開催している。和食の基本技術を学ぶコースでは、筑前煮と紅白なます、えびのつや煮の3品。1回の講習で6品を学ぶ「伝統おせちの会」も人気コースだ。
講習会では、お節料理で使う食材や料理法の由来についても説明。エビは「腰が曲がるまで」から「長寿」、栗きんとんは黄金色に輝く財宝に例えて「豊かな一年を願う」などの由来も説明する。
今井さんは「お節料理の材料にはそれぞれ由来がありますので、できるだけ説明するようにしています。知っていることで心が豊かになりますから」と話す。
いつもの筑前煮をお正月らしく見せるには、彩りの良いニンジンを梅の花のようにあしらうといい。輪切りしたニンジンを花形に抜き、花びらと花びらの間に深さ5ミリほど切り込みを入れる。花びらの中央から切り込みに向かって斜めにそぎ落とすと、きれいな花びらが完成する。
ゆでてあくを抜き、7、8ミリの厚さに切ったこんにゃくは、中心に1センチほどの切れ目を入れ、片方からくぐらせると「手綱(たづな)こんにゃく」に。「縁を結ぶ」から正月に喜ばれる。
穴が開いていることから「先が見通せる」と縁起物のレンコンは、穴の間をV字に切り落とし、花形に切ると美しい花レンコンになる。
季節の野菜ではないが、一年中入手できるキュウリも門松風に切ってイクラで飾ると立派な正月料理だ。緑が目に美しく、新春のさわやかさを演出する。
同協会広報の下渚(しもなぎさ)さんは「難しそうに見えても、習ってみると意外に簡単。包丁の使い方に慣れていない人も練習すればできるようになります」。
重箱に詰める際のポイントは、詰め過ぎない▽見た目が美しいように配色や料理の組み合わせを考える▽味が他の料理に移らないようにアルミホイルなどで仕切る-こと。重箱がなくても和食器や洋食器の大皿にナンテンの実やササの葉を飾るなどすれば、お正月らしい、おもてなしの膳になる。
無形文化遺産の登録が決まった4日に同協会の銀座教室でお節料理を習っていた会社員の女性(30)は「和食が無形文化遺産になって、うれしい。今年は私もお節を手作りするつもりです。これからしっかり勉強して、将来、子供が生まれたら和食文化を伝えていきたい」と話していた。