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育児中、定年後も…広がる「クラウドソーシング」
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会社勤務といった従来型の働き方ではなく、インターネットを利用して見ず知らずの人同士が仕事をする「クラウドソーシング」という働き方が注目を集めています。クラウドとは「群衆」という意味で、ソーシングは「アウトソーシング(外注)」の略。面識がない不特定多数の人に、ネットを通じて仕事を発注するというビジネススタイルです。
民間調査会社の矢野経済研究所(東京都中野区)では、平成23年度に約44億円だった市場規模が26年度には400億円弱、29年度には1500億円弱と急拡大していくと予測しています。
過去数年間で、クラウドワークス(渋谷区)やランサーズ(同)など約200社の仕事の仲介業者が参入。既に何十万人もの人が仕事を得ています。
クラウドソーシングの仕組みは、企業などが仕事を発注し、あらかじめ仲介業者に登録している人が自分にできるものを探して受託、仕事をすることで報酬を得る-というもの。
コンピューターのプログラミングやイラスト作製、ロゴのデザイン、アンケート、事務作業など、企業などからはさまざまな仕事の発注があり、登録者がこれに応募します。個人的に仕事を依頼される場合もあれば、コンペ形式で受託者が決まる場合もあります。
多くの仲介業者が無料で登録でき、技術や能力があれば誰でも仕事に応募できます。ただ、ネットを通しての顔を知らない同士のやり取りなので、発注者側には「報酬に見合う仕事をしてもらえるのか」、受託者側には「ちゃんと報酬を得られるのか」といった心配があります。そこで、多くの仲介業者があらかじめ報酬を預かる「エスクロー」という仕組みを使っています。
これは、企業などが仕事を発注すると同時に報酬を仲介業者に預け、「仕事が納品されたので支払いをしてほしい」という連絡が来たら、預かっていたお金を個人の口座に振り込むという仕組み。その際、手数料として一定額を仲介業者が得るケースが多いようです。
クラウドソーシングは新しい働き方として、人間関係が煩わしい人、子育てなどで定時の勤務ができない人、技術を持つものの定年で会社を退職した人など多くの人が注目しています。
ただ、ネットでのやり取りなので、信頼できる仲介業者かどうか登録前にしっかり確認を。信頼性向上のため、主要な業者が中心となって業界団体を設立する動きもあるようです。(経済ジャーナリスト)