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映画「白ゆき姫殺人事件」 中村義洋監督 程よい緊張感、原作に迫る
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「地方都市を舞台にした話が好き」と話す中村義洋監督(小野淳一撮影) 口さがない世間の噂話。それがワイドショーやインターネットで拡散され、真実とは異なる情報によって当事者が追い詰められてゆく恐怖を描いた「白ゆき姫殺人事件」が29日、全国公開される。原作は人気作家、湊かなえさんの同名小説。「ゴールデンスランバー」(平成22年)など複雑な物語を鮮やかに描く名手、中村義洋監督(43)は「原作の面白さを損なわないよう心がけた」という。(櫛田寿宏)
国定公園「しぐれ谷」で美人OL、三木典子(菜々緒)の焼死体が見つかった。複数の刺し傷があることから恨みを持つ者の犯行とみられ、テレビのワイドショー制作スタッフ、赤星雄治(綾野剛)は知人からの情報提供をきっかけに、この事件に興味を持つようになる。怪しい人物として浮上したのが、三木と同期入社の城野美姫(井上真央)だった。
NHK連続テレビ小説「おひさま」でヒロインを務めるなど、朗らかで華のある女性を演じることが多い井上だが、「オーラを消して、地味な感じになっていました」と中村監督。「彼女は脚本を相当読める人だから、役柄を深く理解して、相当の覚悟をして撮影に臨んだのでしょうね」と振り返った。
赤星は城野の周辺の人物へのインタビューを重ねてテレビで放送する。赤星のリポートは局の内外で評価され、ネット上でも評判になるとともに、事件に関連する書き込みもどんどん増えてゆく。
さまざまな人物の回想をつなぐ形で話は進むが、同じ場面でも、回想する人物が違うと事実関係が違ってくる“藪の中”の展開に。中村監督は見事に演じ分けをした井上を高く評価する。「とても手間がかかる、人によってはめんどうくさいと感じるような撮影でしたが、楽しんでやっていました。その前向きな気持ちがほかの出演者にも伝わって、現場の雰囲気が非常によくなりました」
劇中、音楽ユニット「芹沢ブラザーズ」が登場するが、演じているのは実際に音楽活動をしている実力派3人組の「TSUKEMEN」だ。「役者にちょっと楽器を練習させて、なんていうのとは全然違うシーンになった」と話す。
撮影中、中村監督は照明スタッフからの提案に胸が熱くなったという。ある重要なシーンの撮影は、当初の予定では1日で仕上げる予定だった。「照明の方から、『1日でやれないことはないんですが、2日あったらもっとやれますよ』って。こういうのってあまりないんですよ。ホン(脚本)が読めるスタッフなんですよ」。非常に複雑な作品だが、そんなスタッフに支えられ、程よい緊張感を保ちながら和やかに撮影できたという。