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初夏の楽しみ「自家製梅酒」 揺らして、眺めて、味わう

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

初夏の楽しみ「自家製梅酒」 揺らして、眺めて、味わう

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講師を務める料理研究家の市原由貴子さん=横浜市技能文化会館  6月頃に収穫される梅を使い、梅酒や梅干しなどを作る梅仕事。青梅が出回るこの時期だけの楽しみだ。特に梅酒は材料さえそろえれば作り方は簡単。ここ10年の梅酒ブームで、梅酒作りに初めて挑戦する人もおり、作り方を教える講座が人気を集めている。(寺田理恵)

 うちが一番

 5月24日、横浜市技能文化会館で始まった「梅しごと教室」は、年末のお節料理までキャンセル待ちが続く。初回のこの日は梅酒。受講者は中高年の女性が多いが、男性の姿も見られた。

 講師を務めるのは料理研究家で、梅仕事などを教える「杉田・梅塾」を主宰する市原由貴子さん。「アルコールの中に梅を入れるので、かびるなどの失敗をすることがなく、手軽にできます」と話す。

 作り方は意外に簡単で、梅の実の軸や汚れを取り、容器に氷砂糖と交互に入れてホワイトリカー(甲類焼酎)を注ぎ、1年待てば出来上がる。昨年、この教室で漬けた梅酒は1年を経て、濃いこはく色に仕上がった。

 この日使われた梅の品種は梅酒に適した「白加賀」。ほとんどが青い状態で出荷される。「梅酒は青梅ではなくてもできる。青い方がさっぱりとした香り、木の上で赤く熟してから漬けると香り高くなる」と市原さん。

 分量は一般的には梅1キロにつきホワイトリカー1升(1・8リットル)の割合だが、「私は梅リッチなんです」という市原さんのレシピは梅が通常の1・5倍。この日はホワイトリカー2分の1升(900ミリリットル)に梅750グラムを使った。

 氷砂糖を使うのは「すぐ溶ける砂糖と違い、じわじわ溶けるので、梅のエキスが徐々に出てくる」ためだ。砂糖の量は好みで変えられる。あまり減らすと梅エキスを引き出せなくなるという。

 味わえるのは漬けてから1年後。市原さんは「梅のエキスが抽出されるのを待っている間、見るのが楽しみです。毎日、揺らしてみたりして、愛情が入っていくから手作りは楽しい。『うちの梅酒が一番おいしい』と思うんです」と待つ楽しみを説く。

 初心者でも手軽に

 梅酒は平成16年頃からブームが続いており、日本洋酒酒造組合によると、市販の梅酒の出荷量は24年に約3800万リットルと16年の倍近い。一方、家庭での梅酒作りは昭和37年の酒税法改正で解禁された。毎年、梅の収穫期が近づくと、スーパーなどには青梅のほか、梅酒を漬けるための容器やホワイトリカーが並ぶ。

 解禁当時から容器の果実酒びんを販売している石塚硝子(愛知県岩倉市)によると、瓶の売れ行きはその年の梅の出来、不出来に左右され、豊作だった昨年は好調だった。

 果実酒用のホワイトリカーを販売する宝酒造(京都市下京区)は4月、ホワイトリカーを半分まで入れた果実酒用の容器を発売した。「容器に梅と砂糖を入れるだけ。家庭で漬けた経験のない初心者でも手軽に作っていただける」。旬の楽しみの自家製梅酒作り。挑戦してみてはどうだろう。

 【梅酒】

 梅750グラム▽氷砂糖(ロックタイプ)380グラム▽ホワイトリカー900ミリリットル

 〔1〕梅は傷付かないようによく洗い、ざるに上げて水気をよく切る。竹串で梅の軸を取る。ホワイトリカー(分量外)で洗い、水では取れなかった汚れを取る。

 〔2〕清潔な瓶に梅と氷砂糖を交互に入れ、ホワイトリカーを注ぐ。日の当たらない涼しい場所で保存する。1年たつと飲める。(「杉田・梅塾技文校梅しごと教室」から)

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